妻や家族などに給料を支払った後のお金の動かし方!の話

給料
会社と個人事業主が妻や親など家族に給料を支払う場合のことを3回に分けて書きました。支払い方法についても書きました。
会社が嫁に給料を払うことで節税できるのか?の話
個人事業主が妻に給料を払う場合!の話
個人事業主が妻以外の家族に給料を払う場合!の話
今回は支払った後の話です。

専従者給与の場合

個人事業主が、生計が一緒である妻や親などの家族へ給料を支払った場合、その後のお金の動かし方や使い方は自由です。

生計が一緒であるのでどっちのお金であってもどう使っても問題ありません。

生計が一緒であるということは生活費も全て一緒ということなのです。

普通に給料を支払った場合

会社が妻や親など家族に給料を支払った場合や個人事業主が、生計が一緒ではない親などの家族に給料を支払った場合は、支払った後のお金の動かし方は慎重に考える必要があります。

第三者に対する給料の支払いは当然のことながら払いっぱなしになるので何も問題はありません。

しかし生計が別であっても家族への給料の支払い場合、会社は個人事業主の税額を減らすためだけの脱税行為であることがあります。

帳簿上の記載だけで実際には支払っていなかったり、一度会社から親の個人口座へ振り込んだ直後にお金を返してもらっていたりなどなど。

脱税という大げさな意識がなくやっている場合も多いと思いますが、立派な脱税です。

実際に支払っていなかったり、支払っていても裏で返金してもらっていた場合は給料として費用にすることができなくなったり、返金してもらった金額が贈与税の対象になってしまいます。

給料を支払っていないことがばれた場合

会社の場合

親などの家族へ支払ったことにしていた給与が帳簿上だけの処理しかされておらず実際には支払われていなかったり、裏で社長に返金されていた場合は社長の給与として処理されることになります。

定期同額給与の条件を満たしていれば役員報酬として費用計上できる可能性がありますが、役員賞与として扱われてしまうことを覚悟しておくべきです。

役員賞与として扱われてしまうと会社の費用にすることができず、社長に対して所得税や住民税などの税金がかかってしまうことになります。

役員賞与は会社の費用にならないので会社に対して4割程度の税金がかかります。

そして受け取った社長には所得税や住民税などの税金がかかります。

社会保険料の対象にもなります。

役員賞与に対する会社と社長個人の税率の合計は9割超と非常に高率です。

個人事業主の場合

個人事業主の場合は親など家族へ支払った処理をした給与が費用として処理できなくなるだけです。

自分の所得(利益)が増え、所得税や住民税などが増えます。罰課金も含めるとかなりの率で税金を徴収されてしまいますが、会社の場合と比べると痛みは少なくて済みますが、それ相応のダメージを受けてしまうことになります。

どう処理すべきか

会社であっても個人事業主であっても家族への人件費の処理は甘く見ない方が良いです。

支払いから支払い後のお金の動かし方まで税務当局に疑われる可能性が高い家族への人件費の支払い。

現金払いではなく銀行振込にすべきであり、給料が振り込まれた通用の動きは全て税務当局に見せても問題のない状態にしておくべきです。

振り込まれた給料を全額翌日におろし、「おろしたお金を全額自宅で管理していた」などと不自然な話を税務署にしても調査が長引くだけです。

税務当局に媚びる必要はありませんが、無駄に疑われたる行為や喧嘩を売る行為もするべきでありません。

人件費の部分、特に家族に対する給料の部分は税務当局から厳しく疑われて見られる部分であるので、おかしなことはせずにありのままにしっかりと処理をするべきです。

正規に贈与税を支払う

給与の額は一般的な金額にして、支払いは銀行振込で支払う。

その後のお金の動かし方について支払った家族の自由に普通にしてもらう。

もし自分にお金が足りない場合は贈与税を覚悟して、わかりやすく振込で自分の口座に振り込んでもらう。

110万円までは贈与税がかからず、110万円を超えても310万円までは贈与税の税率は10%です。

親に労働の対価として問題のない金額の給料を支払い、310万円を戻してもらった場合、戻してもらうという言い方は適切ではないですね、310万円を贈与してもらった場合の贈与税の金額は20万円になります。

家族への人件費をグチャグチャいじって、税務調査の時に面倒なことになることと比べたら毎年310万円の贈与を受けて20万円の贈与税を支払うことは非常に効率の良いやり方だと思います。

贈与税がかからない110万円を基準として考えるのではなく、税率が10%である310万円、親から子への贈与である場合は税率15%である510万円のラインは常に意識をしておくべき金額です。

相続対策としてだけでなく、会社や個人事業主が支払った給与の後処理を考える上でも110万円、310万円、510万円の贈与の仕組みを上手く使うべきです。

一番大切なことは家族に支払う給与の額が適切な額であるかどうか。

問題のない給与の額であれば普通に銀行振込で支払い、自分の生活費が足りなかったり相続対策として給与とは全く別に親から贈与をしてもらう。

贈与をしてもらう額の区切りの目安は110万円、310万円、510万円。

こう考えると不正などしなくてもスッキリと気持ち良い処理をすることができ、さらに余計な税金を支払わずに済み、税務調査でも面倒なことにならずに済みます。

節税とはこのようなことを言うのです。

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。