大手生命保険会社が2019年2月14日から節税だけが目的と思われる内容の保険の取り扱いをストップしました。
昔から利益の繰り延べがメインの保険商品は沢山ありましたが、規制されるごとに新しい商品が開発され、イタチごっこ状態でした。
日本生命が2017年に発売した「プラチナフェニックス」という保険、さすがにこの保険は国税庁の逆鱗に触れてしまいました。
プラチナフェニックスとは
支払った保険料全額が会社の費用として処理することができ、基本的に怪我が原因で亡くなった時にだけ死亡保険金が入る保険です。
発売当初は怪我以外で亡くなっても少額の死亡保険金が出る商品もありました。
しかし怪我以外で亡くなった場合は支払保険金より少額の死亡保険金額でした。
最近はこのタイプはほとんど売らず、怪我で亡くなった時だけしか死亡保険金が入らない保険がメインでした。
怪我で亡くなる確率、ググればエビデンス見つけられそうですがそこは主題ではないので省きます。
どの程度かはわかりませんが非常に確率が低く、実用的でない保険であることは間違いありません。
2018年12月にこのような保険に規制が入ることが報道されていました。今回の措置は報道されていた通りに実施されたということです。12月の報道時に詳細を書きました。
節税保険がついに見直し!の話
これで一旦は支払った保険料を全額費用として処理ができ、利益を繰り延べて退職金として払い出す処理目的の保険がなくなりました。
今後もイタチごっこが続くのか、今回の措置で終わるのか注目しています。
利益を繰り延べ退職金を払っても節税効果は0
生命保険と退職金のこと、そして今回の節税目的の商品がなくなることについて調べている時に気になるサイトを何度も見かけました。
全額損金となる生命保険に加入し、数年後に100%の解約返戻金を受け取り、解約返戻金全額を退職金として損金計上しても法人税額は1円も安くならないと書かれているサイトです。
騙されないで!法人契約の生命保険に節税の効果は一切ない
私も何度か会社が退職金目当てで生命保険に加入することは、保険外交員の話やみんなが考えているほど得ではなく、逆に損をしてしまう場合が多いということを書いてきました。
会社が役員にかける保険の内容はどんな感じにするべきか?の話
会社契約の生命保険の選び方!の話
しかし上記の記事は節税効果は一切ないと言い切っています。サイトを読めばわかりますが、書かれている条件の場合は法人税は1円も安くなりません。
条件とは
下記の通り。
・毎年会社の利益が1億円
・毎年の保険料は1千万円で全額費用になる
・保険料は5年間毎年支払う
・6年目に支払った保険料5千万円全額が返戻金として戻ってくる
・6年目に5千万円の退職金を支払う。
この条件通りですと保険料を支払っても支払わなくても、6年目に退職金を払った時までの6年間に支払う法人税額は同額になります。
間違ってはいないのですが、この条件を満たす中小企業はどの程度ありますでしょうか。
退職金を支払う時に利益の金額より退職金額が小さいことが前提として試算されていますが、通常は対象金額の方が大きくなることが多いのではないでしょうか。
退職金支給時に利益金額より退職金額が多くなると条件が変わってきます。
退職金を支払う時の利益金額より退職金額の方が多くなることを前提として、多くなるからこそ利益を繰り延べて退職金目的の保険に加入しているのです。
その前提を覆しての極論記事。書かれていることは間違ってはいないのですが、非現実的である前提で書かれていること、非現実的であることをあえて書いていないこと。
いんちきアフィリエイターがやるのはありかもしれませんが、有資格者である専門家が書くべき記事ではありません。