個人事業主が妻に給料を支払う場合の話は以前に書きました。
個人事業主が妻に給料を払う場合!の話
同居していない家族への給料
同居をしておらず、生計が完全に別である親や祖父母、子供などに給料を支払う場合は第三者に支払う場合と同じで特に制限などはありません。
常識の範囲内の金額であれば問題ありません。
税務署への届け出なども必要ありません。
第三者に支払うのと同じですので、必ず実際に支払う必要があります。
妻に給料を払う場合の時に書いたような、帳簿だけの処理ではダメです。
お金を動かしていることを証明できる動かし方をしておくべきです。
生計が一緒でない親や子供などへの給料支払いはお金の動きを証明できるように銀行振込ですべきです。
生計が一緒である家族への給料
生計が一緒である家族へ給料を支払う場合は妻への支払いと同じような制限があります。
対象となる家族は「6親等内血族及び3親等内の姻族」です。
親、祖父母、子供、孫、甥や姪など、かなりの範囲までが対象になります。
税金の話で言うと親族という言葉を使うのですがわかりにくいので家族という言葉で書き続けます。
白色申告の場合の給料額の上限
白色申告の場合は家族への給料の上限は50万円になります。
妻の場合は86万円なのですが、妻以外の家族への給料上限は50万円なのです。
給料を支払った場合は上限50万円、給料を支払わずに扶養控除を受けた場合は38万円の控除。
たった12万円しか収入から引き算をされる金額に差がありません。
税額にすると、所得税は最低でも5%、住民税は10%、合計で15%の税額、12万円×15%=1万8千円。
1万8千円のために家族に給料を払う処理をするのは面倒でバカらしいと思います。
家族に給料を支払いたかったら青色申告にすべきです。
白色の場合は面倒だから諦める。
その方が手間もかからないのでお得だと思います。
青色申告の場合の家族への給料
妻に給料を支払う場合と同じで税務署に家族へ給料を支払うことの届出書、青色専従者給与に関する届出書を提出する必要があります。
この届出書に仕事の内容や給料の額、賞与の上限金額などを書いて税務署に提出することで支払い金額の上限がなくなります。
子供に支払う時の注意点としては15歳以上であること、昼間の学校に通っている場合はダメであることです。
専ら従事していることが条件になるので学校に通っていたり、他にアルバイトをしている場合は子供だけでなく他の家族であっても専従者給与を支払って費用とすることはできません。
給料金額の上限
青色専従者給与に関する届出書を提出することで法的な上限金額はなくなりますが、上限金額は一般常識の範囲内ということになります。
第三者が同じ仕事をした場合に支払う金額と同額ということです。それ以上の手心を加えた支給をした場合はその手心分はお小遣いということになり、税務調査があった場合は費用としてして処理したことが取り消されてしまいます。
妻への専従者給与の金額に関してより、妻以外への専従者給与の金額に対しての方が税務調査時に厳しい見方をされることが多いです。
エビデンスなしですが、これは大多数の税務調査経験者が感じていることのはずです。
親に給料を支払う時の注意点
家族への給料支払いは子供に支払うケースより親に支払うケースが多いと思います。
親に専従者給与を支払うと時には受給している年金額に注意をする必要があります。
給与収入がある人はその他の所得が20万円を超える場合は確定申告をする必要があります。
年金を受給している65歳未満の人は年金額が90万円を超える場合、65歳以上の人は140万円を超える場合には年金所得と給与所得を合わせて確定申告をする必要があります。
この確定申告は還付になることはなく、納付が必要な確定申告になる可能性が非常に高いです。
年金受給額が高ければ高いほど確定申告時の納付が多くなるので、親への専従者給与を支払う時は年金の金額や年金と専従者給与を合わせた税額や社会保険料を計算してから給料の金額を決めないと損をしてしまいことがあります。
生計が一緒であるかの判定
同居しているかしていないかを問わず、生計が一緒であるかどうか、生活のお財布が一緒であるかどうかという部分での判断になります。
同居をしていない親であっても、生活費の大半を毎月仕送りしている状況であれば生計が一緒であるということになります。
同居をしている場合でも実際がどうであるかということで判定をすることになりますが、税務当局は同居していれば生計が一緒であるから青色専従者給与の届出書を出せと言ってくることが多いです。把握や縛りをしやすいからです。
専従者給与は届出書が必要な面倒な制度ではありますが、実際に支給されたかどうか、お金が動いたかどうかについてはかなり緩く運用されています。
生計が別であるとの理由で給料として支払う場合は銀行振込などで支払った証拠を残す必要があり、税務調査の時はその後のお金の動きまで追われる可能性があります。
届出書を出すという手間はかかりますが、専従者給与も普通に給料として支払う場合であっても費用にできる金額は常識の範囲内ということになるので上限額は同じです。
費用にできる金額が同じなので、同居をしている家族への給料は届出書さえ出せば運用が緩い専従者給与として処理をした方が楽なことが多いです。
同居はしているけど、生計が一緒であるかどうか微妙な状態である場合は、給料の設定や給料金額変更のたびに税務署へ届出書の提出をする手間がかかりますが、専従者給与として処理をした方が問題が少なく楽だと思うのでオススメです。