リーゾート会員権を会社で買うリスク!の話

リゾート
会社の福利厚生目的や取引先の接待目的にリゾート会員権を購入して保有している会社がありますが、あまり有効利用できていないことが多いのではないでしょうか。

リーゾート会員権の最大手であるリゾートトラスト社のリゾート会員権を買った場合、会社での処理はどのような感じになり、どの程度費用に落とすことができるか試算してみました。

エクシブ湯河原離宮購入時の費用試算

2017年4月に開業したばかりのエクシブ湯河原離宮。
エクシブ湯河原離宮

一番安いCBタイプの13泊タイプで消費税込み6,116,355円。

6,116,355円の内訳は下記の通りです。

・土地代 195,562円
・建物代 3,352,793円
・償却保証金 300,000円
・登録料 2,268,000円

この中で一括で費用に落とせる項目はありません。

土地と償却保証金と登録料は何年経っても1円も費用に落とすことができません。

建物は税抜価格3,104,438円を所得価格として耐用年数39年で毎年80,715円ずつ減価償却費として費用計上することができます。

600万円以上払って初年度に費用にできる金額は減価償却費の8万円だけ。

2年目以降も80,715円ずつしか費用計上できません。

費用計上とは正確が違いますが。。。課税業者であり、原則課税を選択している場合は建物に対する消費税248,355円と登録料に対する消費税168,000円の計416,355円が納付する消費税から引き算することができます。

簡易課税制度を選択している場合はこの恩恵は全く受けることができません。

グレードが高い高額の部屋を購入した場合でも費用計上できるのは建物部分を耐用年数39年での減価償却費だけです。

費用計上効果や節税効果は全くありません。

リゾート会員権購入のリスク

取引先の接待に使う分には全く問題ありません。宿泊費や食事代の実費を会社で支払うことで交際費として費用処理することができます(会社の規模により限度額が異なります)。

従業員の福利厚生費用を会社が負担した場合

従業員の福利厚生として使う場合は注意が必要です。

リゾート会員権は宿泊の権利や安く宿泊する権利はありますが、無料で泊まることはできません。

豪華な宿泊施設ということを考えると比較的安いルームチャージ料金ではありますが、2万円超のルームチャージ代を従業員が自分で使用することはないと思います。

従業員の宿泊費を会社が負担することで福利厚生費として費用処理をすることができます。

しかし負担された従業員に対して現物給与が支給されたものとして所得税と住民税が課税されてしまいます。

従業員の宿泊費や食事代として3万円会社が負担した場合、福利厚生費として全て費用処理をすることができますが、従業員に対しては所得税と住民税合わせ4千円くらい(税率は収入金額によるので適当な試算です)課税されてしまいます。

現金をもらっていないのに課税されてしまうにも関わらずリゾートを使いたいと思う従業員は少ないです。

現物給与の問題があるので従業員が使用することは少なく、結果的に非常に稼働率の悪い状態になります。

使うのは経営者である役員だけの状態。

零細企業、中小企業がリゾート会員権を購入するとこのような状況になってしまいます。

役員賞与認定をされてしまうリスク

この場合非常に大きなリスクがあります。

リゾート会員権購入費用600万円に対して毎年8万円ずつしか費用計上できないだけではなく、購入費用600万円が社長への役員賞与とされてしまう可能性が非常に高いです。

役員賞与とされてしまった場合には会社では1円も費用計上することができず、社長には所得税と住民税が課税されます。

年収1千万円の社長に対して600万円の役員賞与認定がされると所得税・住民税合わせて約180万円の追徴課税、年収1,500万円の社長であれば600万円の役員賞与認定で所得税・住民税合わせて約220万円の追徴課税となります。

600万円のリゾート会員権であってもこれくらいの追徴課税、会員権の金額が1千万円や2千万円であった場合はさらに重く、計算するのも嫌になるくらいの追徴課税をされることになります。

会社がリゾート会員権を買う場合の考え方

600万円の会員権を高いと思うか安いと思うか。

接待として使う場合、600万円あれば取引先に対して10万円の旅行を60回、30万円の旅行を20回招待することができ、全ての金額を費用処理することができます(資本金の額により限度があります)。

リゾート会員権を購入してもほとんど費用に落とせる部分がないこと、稼働率が悪く役員しか利用していない場合は役員賞与認定を逃れるのが難しいこと、同じ金額を他のことに使った方が良い接待効果が得られることが私はリゾート会員権を会社で購入することにメリットを全く感じません。

取引先の会社が所有しているから自分も!という軽い気持ちで購入してしまうことが多いようですが、特別な理由がない場合はリゾート会員権は会社ではなく個人で購入すべきです。

リゾート会員権を会社で購入したことを税務調査で厳しく追及されて役員所与認定で、という話があまり知られていないことのようなので、甘く考えて購入してしまう会社が多いです。

税務調査があった場合は厳しく追及される可能性が高いのでリゾート会員権購入時は専門家にシッカリと相談して、リスクの確認をしてからにしましょう。

費用対効果対リスクの確認は怠らないようにするべきです!

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。