個人事業主が妻に給料を払う場合!の話

給料
対談サイトは会社経営が前提で、会社が妻に給与を支払ったり、自宅家賃を支払うことについて書かれていました。

個人事業主のことについては何も書かれていませんでしたが、処理方法や支払い方に大きな違いがあるので今回は個人事業主の費用について書きます。

会社が妻や家族に給料を支払う場合は少し前に書きました。
会社が嫁に給料を払うことで節税できるのか?の話

妻に給料を払う場合

個人事業主が妻に給料を支払う場合、白色申告の場合は86万円までしか費用にすることができません。

妻に給料を支払うと38万円の配偶者控除が受けられなくなります。

給料を支払った場合は86万円、給料を支払わずに配偶者控除を受けた場合は38万円の控除。

たった48万円しか収入から引き算をされる金額に差がありません。

48万円でいくら税額が変わるか、所得税は最低でも5%、住民税は10%、合計で15%の税額が変わってきます。

48万円×15%=7万2千円。

7万2千円変わります。

小さな金額ではありませんが、青色申告を選択して青色専従者給与として妻に給料を支払う場合は支払える給料の金額の上限がなくなるので、白色申告で専従者給与を支払うのはもったいないです。

青色申告の場合

税務署へ妻に給料を支払うことの届出書を提出する必要がありますが、給料の支給額に上限制限がなくなります。

この届出書のことを青色専従者給与に関する届出書と言います。

専従者給与の届出書に記載をすれば賞与も支払うことができます。

妻への給料を費用にできる条件

・実際に個人事業主の仕事をしていること
・他でパートやアルバイトなどの仕事をしていないこと
・年の半分以上、開業年以外の場合は7ヶ月以上勤務していること

この条件は書籍やサイトに書かれているだけでなく、実際の税務調査の時に間違いなくチェックをされて条件を満たしていない場合は確実に費用処理がダメになり税金を取れれてしまうガチなやつです。

他でパートやアルバイトをしていることは簡単にばれてしまうので十分気を付ける必要があります。

いくらまで妻に給料を支払えるのか

妻への給料は基本的に月給計算になります。

そして会社の場合と同じで、まず他人が全く同じ仕事をした場合にいくら支払うかというのが基準になります。

他人が同じ仕事をした場合、3万円くらいしか払えない仕事、妻が同じ仕事をした場合に15万円の給料を支払った場合は差額の12万円はお小遣いですね、費用になりませんという話になります。

妻への給料の支払い方法

実際に支払う必要があります。

銀行振込で支払うことが支払いの証拠になるので一番良いです。

しかし、生計が一緒である妻への給料の支払い、生計が一緒であるということは支払者が生活のために妻への給料を使っても問題がないということです。

税金関係のサイトでは実際にお金を動かして支払う必要があると書かれていますが、生計が一緒である妻への給料支払いは帳簿上で支払ったことにするだけで問題ありません。

妻への給料を支払うべき日に現金残高が足りない時は事業主がプライベートなお金を仕事のお金に入金にして(事業主借、事業主貸、科目はどっちでもどうでも良いです)妻に支払ったことにする。

給料が8万円であれば8万円入金して8万円支払ったことにすれば問題ありません。

妻への給料が高すぎるかどうか、帳簿に支払った記載がないなどの場合は問題がありますが、帳簿に支払ったことにしてある記載があれば問題なしと考えて大丈夫です。

おおよその金額の上限

先ほどの繰り返しになりますが、いくらまでなら妻に給料を支払えるのかという話です。

全く仕事をしてない状況で支給するのは非常に危険です。

税務調査があった時に少し会話をすれば仕事に全く関わっていないことがすぐばれてしまいます。

領収証や請求書発行や整理、振込処理など軽めの経理処理をしている場合は月額20万円までは問題のない支給額です。

他の人が同じ仕事をした場合、25万円や30万円相当であると堂々と言える状況であれば25万円でも30万円でも問題ありません。

20万円というのは経理処理を軽めに手伝っている妻へ給与上限の1つの目安として考えておくのが良いと思います。絶対に大丈夫なわけではありませんが、仕事に関わっていれば大きな問題とならない金額です。

月額20万円ですと給料だけで年額240万円、夏と冬に月額の3ヶ月以内の賞与を支払うとの届けを出してある場合は夏と冬に60万円ずつの賞与。

給料と賞与を足すと360万円を妻に支払うことができ、費用とすることができます。

妻は360万円に対する所得税や住民税などを支払う必要があるので、状況によっては360万円支払うよりも200万円支給の方が得な場合もあります。

この辺は自分で調べるか、専門家に相談をしながら給料や賞与の額を決めてください。

事業を始めた時はよくわからないので青色申告の届けを出さない人が多いと思います。

青色申告の届けを出すことで難しいことや面倒なことがありそうだから、仕事が軌道に乗るまでは青色申告ではなく白でいいや!と、何も調べずに青色申告を選択しない人、大損しています。

青色申告を選択することによるデメリットはありません。

難しい帳簿の作成ができなかった場合は控除額が少なくなるだけで、罰金もなければ税務調査が入りやすいなどのデメリットは何もないです。

生計が一緒である妻への給料を支払いたいと思った時にすぐ支払えるように、その他にも青色申告には特典が沢山ありますので、事業を開始した時にはまず開業の届けと一緒に青色申告承認申請書を出しましょう。

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。