会社が嫁に給料を払うことで節税できるのか?の話


山田さん、箕輪さん、正田さんによる節税に関する対談サイトに書かれている内容をネタにさせてもらっています
箕輪編集室を株式会社に!税金の悩みを解決する節税チーム誕生!?

今、幻冬舎の給料が自分に入ってきてるでしょ?それで、新しい会社から役員報酬をもらうと所得税がまた高くなるから、誰かに給料出した方がいい。そうすると多分奥さんしかいない。
幻冬舎の給料のだいたいを嫁が使って、僕は何もないから役員報酬をもらっているんだけど、それだと足りないから自分の会社から借りるみたいな。だから、幻冬舎の給料は僕がもらって、嫁の生活費は役員報酬ってした方がいいかもね。
給料をいっぱい渡すには役員じゃないと難しいんですよ。課長だったら年間500万円くらいしか渡せない。
役員でないと、例えば月100万とかは払えないですよ。

対談の中にこのようなやり取りがありました。

嫁に給料を払えるのか

誰に給与を支払うかは会社の自由なので、当然嫁にも給料を支払うことができます。嫁に給与を支払うことはできますが、税務調査があった場合に問題があるかどうかはケースバイケースになります。

嫁に払える給料はいくらまでか

これは当然仕事をした分だけということになります。基準は仕事時間だけでなく、仕事時間が短くても成果物が基準であっても良いのです。

屁理屈ではない普通の給料の金額であれば問題ありません。

会社の仕事を何もしていない嫁に給料を支払うことはできません。

役員になっていてもなっていなくても大きな違いはありません。

嫁を役員にして、仕事は何もしない非常勤役員である嫁に給料を支払う場合は月額5万円が限度です。

5万円でも税務調査の時にはグダグダ言われます。

仕事を何もしていない嫁に給料を支払う理由は税額を減らしたいだけ。

そんな理由での処理が認められるわけがないのです。

これは嫁を役員にしても役員にしなくても変わりません。

給料を支払う理由がない嫁に支払う給料を費用にすることはできないのです。

役員か課長とう役職名が与えられているかどうかということも全く関係ありません。

仕事をしていない嫁に月額30万円の給料を支払い、箕輪さんの給料が0円だった場合、税務調査があった時には30万円の給料は箕輪さんの給料として箕輪さんに所得税や住民税が課税されます。

これはたぶんという話ではなく100%箕輪さんの給料として課税されます。

嫁に50万円、100万円支払っていた場合も全く同じです。

全額箕輪さんの給料として課税されます。

そして意図的な脱税行為として高額な過怠金を課せられる可能性があります。

仕事してない人に給料を支払って税額を減らす行為、節税ではなく脱税です。

サイトでの対談の話、ネタであることはわかありますが、利益が出て税金が高くなりそうな時は嫁や家族に給与を支払うことで費用を増やして税額を安くするという話、知識がない人が読んだら真に受けますのでネタとしても使うべきではないと思います。

税務調査があった場合、嫁の給与はどう扱われるか

実態がどうであるか、これが全てです。

勤務実態が全くなければ、本来支給すべき人に支払うと税額が高額になるので支払い理由がない妻に支払ったということになるので、全額本来支払うべき人へ支給として処理がされます。過怠金も覚悟をする必要があります。

妻に勤務実態があった場合、まず見るべき点は第三者が同じ仕事をした時にその金額の給料を支払うかどうかということ。

第三者が同じ仕事をした時に50万円、100万円を支払うだけの仕事を妻や家族がしている場合はその金額を支払うことに全く問題はありません。

次に見るべき点は代表者である社長との仕事と給料のバランスです。社長と妻の仕事のバランスが8対2であった場合、給料の比率も基本的には8対2をベースにして考えるべきです。

この部分に法的な縛りはありませんが、仕事量や仕事の質、重要度を考慮すると仕事内容は社長と妻とでは7対3の割合であるにも関わらず、社長の給料が30万円、妻の給料が70万円であった場合は税金逃れのための給料設定と指摘されても何も言い返せない状況です。

建前的な話として、給料の金額を決めたり何かを決める時に税金を減らすことを目的とした行為はダメなのです。

何かをする場合、何かを決める場合は税金を減らすために決めた行為ということ以外の理由がないとダメなのです。

本音の話としては嫁や家族に給与を払い、収入を分散させたり費用を作ることで税額が安くなるので節税効果が高い行為です。

しかし建前としては税額を安くするためにする行為、対価を得るだけのことをしていない人に給料を支払う行為は脱税行為です。

社長と嫁の給料金額のバランス

会社によって仕事量や仕事の質などが違うのでケースバイケースではありますが、嫁が会社の経理処理などをほぼ全てやっているのであれば社長と嫁の給料の比率が2対1程度までは特に問題ありません。

所得税や住民税のことを考えると、1対1に近付ければ近付けるほど税金が安くなり、メリットも大きくなりますが2対1よりも1対1に近付ける場合は屁理屈ではなく、誰が聞いても納得ができる仕事状況の説明が必要です。

税当局に媚びる必要は全くありませんが、他人が聞いて屁理屈と感じるような理由で給料設定をするのは避けるべきです。

税務調査がなければ何をしても同じ

嫁の給料の件だけに限らず、会社経営全てのことに言えることですが、税務調査が入らなければ100億円の売上金額を100万円として申告をしても、支払ってもいない費用を100億円計上して税務申告をしても何も困ることはありません。

大丈夫なのかどうなのかもわかりません。

個人も会社も申告書の内容が違法だらけであっても、税務署は何も言わずに受領印を押して控えを戻してくれます。

この時点で申告がOKだったと思う人が大多数のようですが、全然違うのです。そのことに気が付くのは税務調査に入られて泣かされた後。

会社設立をすればいろいろなものをを費用にして得しちゃう!という考え方が一般的になっているようですが、税務署に泣かされることになります。
箕輪編集室を株式会社に!税金の悩みを解決する節税チーム誕生!?

今はこのサイト見れなくなっています。

内容があまりにも酷いので削除したのだと思います。

ここに書かれているようなことは簡単にできますが、税務調査が入った時には簡単ではないことになってしまいます。

ネタとして軽く読む分には楽しいので良いと思いますが、会社経営をしている人が書かれていることを何も考えずに実行してしまうと後で大変なことになってしまうので要注意です。

昨日、今日と書いていて思ったのですが山田さんと正田さんは本当に対談でこのような発言をしたり、この内容でのサイト掲載にOKを出したのでしょうか。

サイト制作側で勝手に作ってしまっている可能性はないのでしょうか。

ネタであってもこの内容で掲載OKしたことに疑問を感じています。

次は家賃と自社ビルと資本金の話を書きます。

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。