相続税の負担を減らすために毎年子供に贈与税の非課税限度額である110万円ずつ贈与をしている人、手を挙げてみてください。
子供に毎年110万円ずつ贈与をする。子供名義の普通預金や定期預金に贈与をして貯めていく方法は有効な相続税対策として言い伝えられてきました。
しかしこの方法が相続税を減らす相続税対策になるというのは嘘です。全てが嘘ではありませんが、ほぼ嘘です。
子供が産まれた時から毎年110万円ずつ子供名義の普通預金に振り込み続けると29歳の時には110万円×30年=3,300万円を無税で子供に資金移動させることができると思われていますが。
本当に相続税が安くなるのか
結論から書くと、3,300万円全額が相続財産から減算されることはありません。
贈与で積立てられた預金が3,300万円になる29歳の時、まだ親が生存しいていて3,300万円積立ててあることを子供に告げ、通帳やキャッシュカードを渡すとこの時点で3,300万円の贈与があったものとみなされます。
3,300万円の贈与に対する贈与税額は1,235万円です。全く節税にならないどころか、とんでもない金額の税金を支払うことになってしまいます。
110万円ずつの贈与が有効になるには条件があります。口座に振り込む場合はその口座を本人が認知していること、そしてその口座のお金を本人が自由に引き出して使うことができること。これが絶対条件です。
ほとんどの人が子供に隠したまま子供名義の口座にお金を移動させているだけだと思います。この状態では贈与は成立していません。名義は違いますが実際にお金を管理しているのは子供ではなく親本人なので贈与があったとは認められません。
上記のように30年間110万円ずつの贈与を続け、そのことを子供に告げ、子供が自由にそのお金を使える状態になった時に全額が贈与されたことになります。
従って110万円ずつの贈与ではなく、3,300万円が一度に贈与されたものとして贈与税が課税されます。
預金のことを伝える前に亡くなってしまった場合
30年間3,300万円の預金がある状態で子供に預金の存在を伝えて、使える状態にする前に亡くなってしまった場合は全てが親の預金として相続財産として相続税の計算をすることになります。
贈与は一切なかったことになるのです。
子供が小さい時の贈与には意味がない
子供に贈与をしたこと伝え、そのお金を全て自由に使える状態にした場合は贈与は有効ですが、現実はなかなか難しいと思います。
芸能人など金銭感覚が一般的でない人達は別ですが、一般的に毎年110万円ずつ子供にお金を与えて自由に使わせる行為。現実的には不可能に近いのではないでしょうか。
110万円ずつ贈与をしていることを伝え、そのお金を自由に使っても良いと思える年になってから110万円ずつの贈与をスタートすべきです。
これは現預金だけでなく、不動産や株や債権などの金融資産も含めた全ての財産に該当することです。
名義預金はバレるか
名義預金とは本来の持ち主とは違う名義で作られた預金です。親が子供の名前や孫の名義でコッソリと作っておくことが多い預金のことです。
110万円の贈与時に本人に内緒で貯めている場合の口座は名義預金ということになります。
110万円の贈与以外にもこっそりとなんとなく子供名義の預金を作っている人も多いですが、相続税の税務調査があった場合は90%以上の確率でバレてしまうと思っておいてください。
税務調査があった場合、あらゆる面から本来の預金口座の持ち主が誰であったか、誰が入出金をしていて、その資金はどこから調達してきたお金なのか。念入りに調べられます。
相続税逃れのためにやるのであれば、専門家が本気になって隠しにかからないとダメなレベルです。しかし専門家の中に相続税脱税の手助けをする人はいません。
バレる確率があまりにも高く、相当高額な報酬をもらっても合わないこと。それだけのスキルがある人は違法行為をしなくても十分な稼ぎがあるので悪事に手を染めることはありません。
悪事を手伝ってくれる人がいた場合、非常に能力が低い可能性が高いので要注意です。