零細企業中小企業の社長が会社契約で入っておいた方が良いと言われている保険がいくつかあります。
それぞれが本当に必要なのか、どの程度必要なのか。
お得な保険というのは会社よりも保険会社や保険代理店にとってお得であることが多いという現実もあります。
保険はあればあるで安心ではありますが、なければないでどうにかなります。
自分の会社にとって最低限必要な保険だけにまず入り、後は余裕ができてからで十分です。
必要最低限の保険は代理店が勧めてくる保険と比べるとかなりお安いのです。
会社にとって必要な保険とは
全ての借金を返済するための保険
零細企業中小企業であれば創業者である社長が亡くなってしまったら会社の経営が終わってしまうことが多いと思います。
まずは創業者である社長が亡くなってしまった時に、全ての借金を返済できる保険が必要です。
死亡保険金の目安は銀行などの借入金残高、車のローンなど分割払いになっているものの残金、リース契約の残金合計額の1.5倍。
合計残高が1億円であれば死亡保険金は1億5千万円、合計残高が2億円であれば死亡保険金は3億円です。
合計残高が1億円の場合、1億5千万円の死亡保険金が入り、残高1億円を返済。
1億5千万円の死亡保険金は利益になるので40%である6千万円の税金を支払うことになります。
1億円を返済して6千万円の税金を支払うと支払総額は1億6千万円。
死亡保険金より多くなってしまいますが、実際の税率はもっと安いこと、死亡退職金や弔慰金を費用にすることができるので特に問題なく支払いができるはずです。
気になるのであれば1.6倍、死亡保険金1億6千万円の保険に入ってください。
保険料はどれくらいなのか
死亡した時と高度障害状態になってしまった時だけ保険金がおりる掛け捨ての保険なので非常に安いです。35歳、40歳、45歳、50歳時に死亡保険金1億円、20年満期の定期保険の月額保険料のおおよそ金額は下記の通りです。
・35歳 18,000円
・40歳 26,000円
・45歳 40,000円
・50歳 61,000円
保険料は保険会社によって少し違いますが、おおよその参考にしてください。
死亡保険金と保険料はほぼ比例しますので、死亡保険金1億5千万円の保険の場合はこの金額の1.5倍、2億の場合は2倍程度と考えて大丈夫です。
想像してた保険料と比べてかなり安いと感じたことと思います。
会社契約であっても個人契約であっても保険外交員や保険代理店が勧めてくる保険は良くも悪くも余計なものが山盛りということです。
社長が病気になった時の保険
入院した時や手術をした時の保険のことではありません。
社長が仕事を継続できないような病気になってしまった時、会社経営を終わらせるための期間分の運転資金を確保するための保険です。
ガンと診断確定した時、心筋梗塞か脳卒中の状態が60日以上継続するか手術を受けた時におりる保険です。
会社に運転資金の3ヶ月程度を目安に、お金に余裕があれば運転資金6ヶ月分を限度に加入するのがオススメです。
35歳、40歳、45歳、50歳時に上記のようにがん診断や心筋梗塞、脳卒中になってしまった時に保険金1千万円、10年満期の定期保険の月額保険料のおおよそ金額は下記の通りです。
・35歳 5,000円
・40歳 7,500円
・45歳 12,000円
・50歳 17,000円
この保険も保険金と保険料がほぼ比例する保険なので保険金3千万円の場合は3倍の保険料、保険金5千万円であれば5倍の保険料、保険金1億円であれば10倍の保険料になります。
会社を終わらせるまでの期間は気持ちに余裕があればあるほど意味なく余計な時間がかかってしまいます。
ダメな時はダメと諦めて処理を淡々と進めるためには3ヶ月程度、長くても6ヶ月以内できっちりと終わらせることが大切です。
コストパフォーマンスと実際に保険を使う場面を考えた場合、この保険の金額を増やすよりも必要な死亡保険金額の計算時に借入等の合計額プラス月々の運転資金の3ヶ月から半年分を足して算出するのが良いと思います。
この期間でまとまらない話は1年経っても3年経ってもまとまらない話です。
決めにくい話を早く決断して決めるためにも余計な期間を考慮した保険に加入すべきではありません。
保険料の問題より余計な時間を作ってしまうことが無駄なことだと思います。
保険外交員も保険代理店もゆっくり考えるべきということで高額な保険を勧めてきますが、それは会社が得な保険なのではなく外交員や代理店と保険会社がお得な保険なのです。
退職金目的の保険は得なのか
退職金目当ての保険に加入してる会社が非常に多く、仕組みもわからずに入っているにも関わらず、退職金目的の保険に加入していない別会社の社長に対して上から目線で接するという話をよく聞きます。
「お前保険に入ってないの?大丈夫?ダメなんじゃないの?」という感じです。
結論から先に書くと、退職金目当てとされている保険のほとんどが大損保険なので加入すべきではなく、加入しているのであればすぐに解約をするべきです。
退職金目当ての保険とはどのような保険なのか
基本的に解約返戻金が高額である死亡保険金がメインである定期保険です。
解約返戻率のピークは7割超から8割程度。
高額な保険契約を維持して、ターゲットとした年に多額の解約返戻金が戻ってくる。
支払保険料と解約返戻金との差額で高額な保険に加入することができる。
こんな感じの説明をされると思いますが、支払保険料と解約返戻金との差額で高額な保険契約をというのは解約をしたという結果があってのことなので詐欺的な口説き文句です。
結局退職金目当ての保険というのは利益を先に繰り延べるだけです。
利益を繰り延べるために無駄の費用を支払い、資金繰りを悪化させる。これが真実なのです。
資金繰りに絶対的な余裕があればメリットもありますが、資金繰りに余裕がない状態で半額しか費用にできない退職金目当ての保険に入る場合はデメリットがメリットを大きく上まわります。
そもそも退職金目当てと呼ばれている保険にはメリットが少ないのです。
結局は利益の繰り延べが一番の目的であり、戻ってくる金額は支払った保険料を下回るのでお金は減ることになります。
利益を繰り延べるメリットはターゲットとした人の退職金控除の金額が増えること、会社の費用にすることができる退職金の金額が多くなること。
支払った保険金と同額が戻ってくるのであれば利益の繰り延べにはメリットがあります。
しかし返戻率が7割や8割で本当にメリットがあるのでしょうか。
退職金については以前詳しく書きました。
退職金はいくらまで会社の費用にすることができるのか?の話
1年につき40万円か70万円である退職金控除の額を増やすためと会社の費用とすることができる退職金の額を増やすためだけに利益を先に繰り延べる行為。
支払う保険料と保証内容、戻ってくる金額と比べて本当に得なのでしょうか。このような視点で説明を受けたり考えたことはありますでしょうか。
会社契約の生命保険料、いくら払っていますでしょうか。
50歳であっても1億円の死亡保険金の20年契約で月額61,000円です。
この契約と比べてお得と言えるような保険でしょうか。
保険外交員や保険代理店が得をする保険ではなく、会社に必要である保険がどのような保険であるのかをこの機会に見直してみてください。
保険を見直す過程で誰が敵で誰が味方なのか、面白いことがいろいろとわかってくるかもしれません。