節税保険がついに見直し!の話

保険
会社の税額を減らすことだけを目的として作られたようなおかしな保険がいくつかあります。

今回はそのうちの1つであり、大人気である「傷害保障重点期間設定型長期定期保険」のことについて書きます。

傷害保障重点期間設定型長期定期保険とは

長くてわかりにくい名称ですが、この保険のことを簡単に書くと怪我で死んだ時だけ保険金が入る保険です。病気で死んでも保険金は入りません。

怪我での死亡。非常に確率が低いことを想定した保険ですが支払った金額の全額が費用として処理をすることができ、10年後くらいぶに解約すると支払った保険金の85%くらいが戻ってくる保険です。

怪我による死亡の可能性は極めて低いので、保障のための保険ではなく完全に利益の繰り延べのためだけの保険です。

日本生命保険が「プラチナフェニックス」という名でこの主の保険をヒットさせました。

その後他社も類似商品を開発して追随しました。

利益の繰り延べ以外の目的に役立つことはほぼないと思われるこのふざけた保険、予想通りではありますが金融庁の逆鱗に触れてしまい、税制要求を受ける事態となっています。

近い内にこの種の保険はなくなってしまうと思われます。

今まで何度か会社が契約する生命保険のことを書いてきました。目

的なく利益を繰り延べるだけの保険ほど無駄なものはありません。

お金を捨てているのと同じことです。
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何かが起きた時に意味がある保険であれば保険加入の意味が少しはありますが、怪我で死なないと保険金がおりない保険なんてクソです。

交通事故以外で死んでしまう可能性は低くはありませんが、交通事故で死んでしまった場合は賠償保険など車関係の保険で報償される可能性が非常に高いです。

交通事故以外の怪我で死んでしまう事情、どのようなことを想定しているのでしょうか。

支払った金額の100%、100%以上が戻るのであれば意味はあると思いますが、85%や90%程度ので戻りの全く意味のない死亡保障保険に価値はありません。

プラチナフェニックスの実例

傷害死亡だけでなく、傷害以外で死んだ時も少しだけ保険金がおりるという少し良心的な保険の例です。今は全額損金処理できるかわかりません。

2017年6月頃の事例です。加入者は男性で年齢は45歳。

傷害が原因で死んだ場合の死亡保険金は3億円。支払保険料は335万円。

加入から1年で病気で死んだ場合は260万円、2年で死んだら530万円、3年で死んだら800万円、10年で死んだら2,600万円。

10年間に支払う保険金は3,300万円くらいなので、10年以内に怪我以外のことが原因で死んでしまった場合は支払った保険金よりも少ない死亡補償金しか受け取ることができません。

11年後からは保険の内容が大きく変わります。

死亡事由に関係なく死んでしまったら3億円の保険がおります。

怪我でも病気でも死ねば3億円の保険金が入る契約です。

契約から10年で解約すると2,776万円の解約返戻金が戻ってきます。

10年間の支払保険料は3,350万円。返戻率82.9%です。

全額損金処理ができ、返戻率83%の保険は意味のある保険であり、さらに退職金目当てとして税金を少なく利益処理ができる状況であれば有意義な保険だと思います。

しかし怪我で死んだ時以外は払った保険金より少ない死亡保険金。

お金が捨てるほどあれば意味ある保険だと思いますが、普通の経営をする会社にとってはかなりのクソ保険です。

クソ保険にもかかわらず、この保険に食いつく人の多いこと。

この保険に食いつく人の傾向はバカで論理的な計算ができないのに、しないのに、自分は賢いと思ってしまっている人達です。

保険会社からするとおだてれば食いつくダボハゼ。

でも本人は意識高く他人とは違うと思っているのでまわりのアドバイザーからしてみれば関わりたくない面倒くさい人達です。

どれだけ損なのか

上記の例の保険の場合、10年間の支払保険料は3,350円、返戻金は2,776万円、差引金額は574万円です。10年間で574万円の保険料を支払うことになるのです。

1年の負担金額は57万円、月額にすると47,500円。解約返戻金を差し引いた実質負担額47,500円の保険、怪我で死んだ時しかお金が入ってこないクソ保険。

こんなバカな保険に月額5万円弱も払う人ってどうなのでしょうか。

もちろんお金が余っていれば良いと思います。でもこの保険に入っている人はお金が余っていない人ばかりです。

お金がないから少しでも得をしようと思いこの保険に入り、さらにお金がなくしてしまうというパターンです。

税法を逃れる形で全額損金処理をすることができ、解約返戻率が高い生命保険は今後も出てくると思いますが内容的には網の目をくぐるだけの保険なのでクソみたいなものばかりだと思います。

そんなくだらない制度を使うよりもしっかり稼いでしっかり税金を払い、お金が足りなかったらもっと稼ぐ。せこいことはせずに普通に頑張るべきだと思います。

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。