退職金での節税!の話

退職金
一般的に退職金というのは会社を辞めて、会社を離れる時にもらうものです。従業員であっても役員であっても会社を辞めて、その会社に行くことがなくなった時にもらうものというイメージがあると思います。

退職金にかかる税金は安い

退職金支給時には退職金控除とうい特別な控除があるので、給料と比べると圧倒的に税額が安くなります。

退職金控除

退職金控除は勤続年数により変わってきます。勤続年数が20年までは1年につき40万円、21年目以降は1年につき70万円が控除されます。
・20年勤務の場合 40万円×20年=800万円
・30年勤務の場合 800万円+70万円×10年=1,500万円
・40年勤務の場合 800万円+70万円×20年=2,200万円
20年勤務の場合は800万円、30年勤務の場合は1,500万円、40年勤務の場合は2,200万円までは所得税も住民税も社会保険料も一切かかりません。
勤務年数21年目以降から1年の控除額が1.75倍になる影響で21年目以降からは控除額が大きく増えていきます。20年勤務した会社を退職、転職先で20年勤務して退職した場合はそれぞれの会社で税金がかからない限度額は800万円ずつになります。
20年ずつ2箇所で勤務して退職金をもらった場合、退職金控除は800万円ずつが2回なので総額で1,600万円までが税額がかからない退職金額になります。同じ会社に40年間勤務した場合の退職金控除額は2,200万円。
同じ40年であっても20年が2回と40年勤務をした場合では退職金控除の額が600万円も違ってきます。退職金控除額を考えて転職をする人はいないと思います。このことを意識すべきであるのは家族経営である同族会社の2代目です。

退職金の支払い条件

退職金の支払い条件は一般的な退職だけでなく、従業員(使用人)から役員に就任した時も対象になります。創業者である社長の2代目が従業員から役員に就任した時に退職金を支給することができます。

従業員から役員就任時の退職金支給

退職金支給時は従業員の退職金規程を元に計算することになります。この処理をする時は会社の利益が想定以上の状態になってしまった時に、利益を圧縮する時によく使う手段です。2代目の役員就任は想定していたことではなく、利益を圧縮するための退職金支給をするために役員に就任させてしまうということです。
メリットは会社の費用として処理することができるので会社の税額を少なくすることができること。
デメリットは一度退職金を支払ってしまうので、役員退任時の退職金控除の起算日が従業員として働き始めた日ではなく役員就任日からとなってしまうことです。
もう1つのデメリットは他の従業員にも同じ基準で退職金を支払う必要がでてくるということです。退職金の規程は基本的に基本給に勤続年数に応じて一定の率をかけて算出します。
2代目の役員就任時に作った従業員退職金規程はその後の従業員退職時にも適用することになるので、高い料率で設定してしまうとその後の会社経営に大きな悪影響を与えてしまいます。
この部分のバランスの取り方と対応が会計事務所や会計コンサルタントの腕の見せ所だと思います。

3千万円を払った時の給与と退職金の税額

退職金の対する税金の計算方法は「(退職金額-退職金控除)×1/2×税率です。給与などの他の収入とは完全に別物として独立した形で税額を算出します。退職金控除の影響も大きいですが、退職金控除後に半分になることが税額を安くすることに非常に大きく影響します。
3千万円を給与とした支払った場合。
・所得税 830万円
・住民税 175万円
・合計税額 1,005万円
20年勤務で3千万円の退職金を支払った場合。
・所得税 214万円
・住民税 110万円
・合計税額 324万円
30年勤務で3千万円の退職金を支払った場合。
・所得税 111万円
・住民税 75万円
・合計税額 186万円
40年勤務で3千万円の退職金を支払った場合。
・所得税 38万円
・住民税 40万円
・合計税額 78万円
このように圧倒的な税額の差があります。支給額が5千万円や8千万円など、大きくなればなるほど給与と退職金支給時の税額の差は大きくなります。
退職金を支給することができるのは一般的な退職時だけでなく、従業員から役員に就任した時、代表取締役から平の取締役になった時など、一般的な退職以外にも支給することが可能な時があります。
支給することで会社は費用計上をすることができ、退職金をもらった人は給与よりも圧倒的に安い税額で支給を受けることができる退職金。退職金控除と費用計上できる金額や業績などを見ながら上手く使うことで大きく節税ができる部分です。旨みがあるということはやり方を間違えると痛みも大きい制度です。
従業員(使用人)と役員とでは会社が費用として処理できる金額の基準が変わってきます。次回あらためて会社が費用として処理できる金額と、代表取締役を辞任して会長に就任した場合の退職金に関しての話、実務的に何をどうすれば良いかを書きます。

この記事を書いた人

山口 健一