退職金を何度も支給してもらって儲けるという話は本当にあるのか?の話

天下り
天下りで大儲け、なんたらで大儲けというステレオタイプの話が世の中に溢れています。

真実も含まれていますが、想像や雰囲気だけで適当な話の方が多かったりします。

こんなツイートが少し前に流れてきました。このツイートを読むと官僚が天下って2年ごとに退職金をもらってウハウハ!とのツイート

実際にこれはウハウハで美味しいのか楽しいのか、こんなことが本当にあるのかはエビデンスが示されていないのでわかりません。

これを読んだ人は官僚はこんなだよな!天下りってこんな感じ!と納得して読んでしまう人が多いと思います。

本当にこのようなことが行われているのでしょうか。このようなことが可能なのであり、得をすることができるのでしょうか。

実際に官僚が関係団体に天下り、2年ごとに別の関係団体に異動することで2千万円の退職金をもらう行為を繰り返しているかどうか。

そんなことが本当にあるかどうかは私にはわかりません。知っていたとしても守秘義務の観点から書くことはできません。

実際にあった場合、本当に得なのかぼろ儲けなのかを書きます。

退職金に対する税額計算方法

退職金の収入に対する税額は給与の収入や他の収入とは別に計算されます。

退職金の税額の計算方法は退職金から退職金控除を引き、その金額の半分に対して税率を掛けることにより計算します。

退職金に対する税額が安くなる理由は退職金控除の影響もありますが、それよりも退職金控除を引いた後に半分にすることの影響が大きいです。

半分にすることができない特例

無条件で半分にできてしまうと悪用する人がでてくるので、半分にすることができない特例が設けられています。

勤続年数が5年以下の法人役員に対する退職金は半分にすることができません。

退職金から退職金控除を引いた金額に直接税率を掛けることになります。

天下りで2年ごとに異動している人への2千万円の退職金の税額の計算、2千万円から退職金控除80万円を引いた1,920万円に対して所得税と住民税が課税されます。

所得税は約488万円、住民税は192万円、合計で約680万円。2千万円から680万円を引いた1,320万円が手取金となります。

半額にすることはできませんし税率は35%程度と安くはないですが、他の収入を足さずに計算できるので、手取金額で考えると悪くない収入金額です。

藤沢さんのツイートの意図通り、ぼろ儲けのいんちき臭さを感じられる試算結果です。

退職金はいくらまで費用にできるのか

会社には退職金として費用処理できる金額に限度額があります。

役員に対する退職金の場合、退職時の月額報酬金額に在任年数と功績倍率を掛けた金額になります。

功績倍率
・代表取締役 3倍
・専務取締役 2.8倍
・常務取締役 2.6倍
・取締役 2.4倍

退職金はいくらまで会社の費用にすることができるのか?の話

一般的に功績倍率の上限はこれくらいです。

代表取締役であり、月額報酬200万円であった場合の退職金の費用限度額は200万円(月額報酬金額)×3(功績倍率)×2年(勤続年数)=1,200万円です。代表取締役であっても会社の費用にできる上限は1,200万円です。

通常は天下って適当なポストで回り続ける場合は平の取締役。

かなり多めに月額報酬100万円で試算したとしても100万円(月額報酬金額)×2.4(功績倍率)×2年(勤続年数)=480万円です。代表取締役であっても会社の費用にできる上限は600万円です。

代表取締役となり月額報酬200万円で2年で退職した場合であっても会社が費用計上できるの金額は1,200万円。

平の取締役の場合で月額報酬が100万円であった場合は480万円しか会社の費用にすることができません。

このようなことを踏まえて考えると、2年ごとに関係団体に異動をして2千万円ずつ退職金をもらうということは現実的ではありません。

ネタに対してのマジレスになってしまいましたが、読んだ人はネタと思わず信じます。書くべきではないことだと思います。

おそらく書いた藤原さん本人も細かい下流のことは知らないのでしょう。

細かい説明をすっとばしてのツイートなのだと思いますが、読んだ人がどう捉えるかわかっていてツイートしているはずです。とても優秀な人ですから、当然それくらいのことは考えているはずです。

しかし限度を超える誤解を与えるツイートは不愉快です。
クソツイートです。

2020年7月29日追記
このツイートはコロナ脳を煽るマスコミと同じ臭いがします。

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。