社会保険加入義務の現実!の話

社会保険
社会保険については加入事業所に対して呼び出しの調査があることや、過去には理不尽なことや不正があったことについて何度か書きました。
社会保険についての投稿

社会保険加入義務がある事業所とは

過去の投稿でも書きましたが、会社の場合では社長1人だけであっても社会保険に加入する義務があります。個人事業主であっても下記の業種の場合は常時5人以上雇用している場合は社会保険に加入する義務があります。

製造業、土木建築業、鉱業、電気ガス事業、運送業、清掃業、物品販売業、金融保険業、保管賃貸業、媒介周旋業、集金案内広告工業、教育研究調査業、医療保険業、通信法同業

人を雇う時のルール
厚生労働省のサイトから引用しました。

昔は加入義務である会社も個人事業主も強制的に社会保険に加入させられることはなく、数年前までは社会保険は任意保険の様な状態でした。

未だにこの時と同じ状況が続いていると思い、起業時に気軽に会社を設立してしまうと強制的に社会保険に加入させられてしまうことによる費用負担に泣かされることになります。

何度もしつこく書きますが会社の場合は社会保険を逃れることは絶対にできません。数年前とは状況が全く変わってしまっているのです。

昔の任意状態だった時の話を知人から聞き、甘い考えで会社設立をしてしまうと間違いなく痛い目にあいます。

会社が社会保険に加入しないとどうなるか

日本年金機構来所通知書
日本年金機構来所通知書
これと同じ呼出状が届き、必ず社会保険に加入することになります。今の日本年金機構を舐めない方がいいです。必ず加入です。最大で2年前までさかのぼり、しっかりと徴収されます。

社会保険料の負担額はどれくらいなのか

現在は月給135万5千円が社会保険料の上限となっていて、この金額を超えると社会保険料の金額が増えなくなります。この時の個人負担額の上限は月額約13.6万円、年額約164万円です。会社負担額も含めると倍の328万円になります。

これに対して社会保険の加入しなかった場合は国民年金年額が約20万円、国民健康保険料の上限は年額93万円、合計社会保険料は113万円です。

会社設立時に社会保険に加入しないで済むと考え、国民年金と国民健康保険料の上限である負担額113万円を想定していた場合、社会保険に強制加入させられることで328万円を徴収されます。

想定していた113万円と比べて215万円も支払額が多くなります。これは毎年のことですので5年間続いていたら想定より1千万円を超える負担になります。

給与支給額が少ない時の社会保険負担額

上記の例は月額135万5千円以上という月給が高額だった場合です。給与の月額30万円程度だった場合、社会保険に強制加入させられることでどれくらい負担額が増えるのでしょうか。

給与の月額が30万円の場合

社会保険の場合は個人負担額の年額が約74万円、会社負担額も合わせると約150万円です。国民年金と国民健康保険の場合は国民年金が約20万円、国民健康保険料が約30万円、合計負担額は約50万円です。

給与の月額が30万円であっても、社会保険に加入することで負担額は100万円も増えます。

このことを想定して会社設立をした場合は特に問題はないですが、社会保険に入らないで大丈夫だと聞かされていて、思い込んでいて想定外の社会保険料負担は経営にも生活にもかなり大きなダメージを与えてしまうことになります。

会社設立をしても社会保険に加入しないで済むと甘い考えを持っている人が一人でも少なくなることを願っています。

今の年金機構は税務署よりも、どの役所よりも桁違いに厳しい役所になっています。会社設立の時は社会保険料も含めた試算をしてから設立するようにしてください!
会社を作ると税金が安くなるというのは本当か?の話

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。