消費税が予定通りに増税された場合、飲食料品と新聞購読料には8%の軽減税率が適用されます。消費者にとっては軽減税率が適用される商品は値上がりせず、その他の商品は値上がりすることになります。
値上がりと言っても10,800円だった商品が11,000円になるだけ、1,080円だった物が1,100円に、108円だった物が110円になるだけです。たった1.85%の値上げで軽減税率がなんだとか増税の影響がどうのという必要はあるのでしょうか。
金額や率の問題よりも気分的な問題が大きいのでしょうが、手間を考えると2%しか差がない軽減税率はデメリットが多過ぎです。消費税を20%に上げ、飲食料品は10%程度。これくらいでないとやる意味はないのではないでしょうか。
軽減税率に関係する業者は得か損か
売上が10%で仕入や支払いが軽減税率の影響を受ける業者と、売上が軽減税率の影響を受ける8%で仕入や支払いが10%の業者はどちらがどれくらい得や損をするのでしょうか。飲食店などは損か得か
売上が10%で支払いが8%の業者として考えられるのは飲食店です。飲食代金は軽減税率の対象とならないので消費税率10%が適用されます。食材の仕入は軽減税率が適用されて8%になります。食材だけは8%でお酒や家賃やその他の費用は10%ですが、わかりやすくするために全てが8%として試算してみます。
売上が1億円で仕入などが5千万円だった場合、売上に対する消費税が1千万円なので税込の売上金額、収入金額は売上金額1億円+消費税1千万円=1億1千万円になります。
支払い金額の5千万円に対しての消費税は8%である400万円、支払い金額5千万円+消費税支払総額は5,400万円になります。
収入1億1千万円に対して支払い金額は5,400万円。1億1千万円-5,400万円=5,600万円が手元に残ります。
税務署に支払う消費税は売上に対する消費税1千万円から支払いに対する消費税400万円を引いた600万円。
手元に残っている5,600万円から消費税600万円を支払うと手元に残る金額は5,000万円です。
新聞販売店は損か得か
収入1億円に対しては軽減税率が適用されて8%、支払い5千万円に対して10%。消費税込み1億800万円の収入に対して消費税込みの支払いは5,500万円、差引で5,300万円が手元に残ります。税務署に支払う消費税は売上の消費税800万円-支払いに対する消費税500万円=300万円。
手元に残ってる5,300万円から消費税300万円を支払うと手元に残る金額は5,000万円。飲食店と一緒じゃんw
売上も支払いも軽減税率が全く適用されなくても、税務署に支払う消費税のことも考慮すると、やはり手元に残るお金は5,000万円で同じなのです。
ということで、軽減税率を適用されようがされまいが事業者は税務署へ支払う消費税額も含めて考えると損も得もないのです。
年間売上金額(課税売上金額)が1千万円に満たない免税事業者(消費税を支払っていない事業者)や簡易課税という年間売上5千万円以下の事業者だけが選択できる特別な事業者以外は軽減税率の影響は全くありません。
手間がかかるだけで得する事業者も損する事業者もないのです。軽減税率が適用される業種かどうかで消費税込みの単価は変わってくるので、売値による売れるか売れないかの差はありますがたかが1.85%の違いで売れなくなるような仕事ならば、やめてしまった方が良いのではないでしょうか。
軽減税率が適用される事業者も損得のない軽減税率。消費者にとっては飲食料品が1.85%という微々たる金額の支出が減りますが、たったそれだけの金額のために企業は膨大な設備投資と手間をかけなくてはいけないのです。