QBの床屋はどうして値上げしても業績悪化していないのか?の話

理髪店
「しまむら」や「鳥貴族」は値上げをしたことで業績悪化が続いています。
しまむらの業績悪化は値上げと同時に商品数の絞り込みをしたことが大きな原因です。
鳥貴族の業績悪化は値上げをしただけで料理の質はほぼ変わらず、客層を入れ替える努力をしなかったことが大きな原因だと思います。
どちらも既存顧客のクラスタがどのようなクラスタであったのかを読み違えてしまい、客層の入れ替えを考えずに既存クラスタに値上げ後も受け入れてもらえるはずとの大きな勘違いが原因です。経営陣が思っているほど商品に魅力を感じてもらえていなかったのです。
激安店しまむらも業績悪化中!の話
鳥貴族が狙っているクラスタはどのクラスタなのか?の話

QBハウスも値上げ

激安床屋店であるQBハウスが2019年2月1日から料金を1,080円から1,200へと10%以上の値上げをしました。鳥貴族としまむら以上の値上げ幅です。
値上げ直後から業績悪化をしてしまった鳥貴族とは違い、値上げをした2月の既存店売上高は前年同期比でプラスをキープしました。11.1%の値上げをして既存店売上高は前年同期比で9.6%増。値上げ率よりも売上高増加率が低いので客数は減っているようです。
QBハウス2019年6月期国内店舗売上高前年比
しかし大きな客数の落ちこみはなく値上げによる客数減少の悪影響を吸収している状態です。3月以降の推移をみないとしまむらや鳥貴族との違い、値上げが好影響となるかはまだわかりません。
しかし、少なくても値上げ直後からダメージをくらってしまった鳥貴族とは全く違う値上げ後の1ヶ月となっています。
鳥貴族やしまむらとの大きな違いは競合が少ないことです。消費税込みで1,080円の競合店はありますが鳥貴族にとっての鳥二郎や鳥メロ、やきとりセンター、豊後高田どり酒場のように何がなんだかわけがわからない状況にはなっていません。
1品280円か298円かが気になる人が鳥貴族と類似点との味の差を気にするわけがなく、当然1円でも安い類似点へと人は流れていきます。激安店である鳥貴族の客層のクラスタがそういう人達なのです。
鳥貴族はそのことをわかっていたはずなのに客層の入れ替えをしなかった。その影響で値上げをした2017年10月以降の既存店売上高は、ほぼ全ての月で前年同期と比べて減少しています。
鳥貴族に行かなくてもほぼ同じ味の類似店が少し歩けばあるのですから、鳥貴族に行かなくても済んでしまうのです。済んでしまうどころか、鳥貴族に行かない方が安く食べて楽しむことができてしまうのです。

QBハウスの場合

1,080円の競合店は多々ありますが、競合店まで歩いて数分で行けるような場所はかなり少ないです。新宿駅周辺など、都心のごく一部の地域だけです。その他の地域では競争が激化していません。
人に対しての印象に非常に大きな影響を与える髪の毛のカット、ここに千円程度しかかけないクラスタは鳥貴族クラスタ、サイザリアクラスタ、牛丼屋クラスタ、無料サービス大好きクラスタです。
無料の牛丼店に1時間以上並ぶ人以上に論理的な考え方をするのが苦手で考えない人が多いクラスタだと思います。エビデンスありませんがw
QBハウスもこのようなクラスタを対象に仕事をしているのです。今回の値上げで、値上げ直後の1ヶ月はあまり影響がありませんでしたが、競合店が増えれば間違いなく影響が出てくると思います。
激安で商売をして、激安店好きのクラスタを対象に商売を始めてしまうと激安を続けるしかないのです。自分の髪の毛のカット代金にに千円程度しか払う気がない人を相手にする商売が成り立っていることがとても不思議に感じています。
今は競合店が少ないことで値上げの影響を受けていませんが、必ず崩壊するビジネスモデルだと思います。
人口が増え続けるのであれば全然大丈夫なのです。日本は今後人口が減っていくのです。激安店は消滅していく方向です。激安店商法は人口が爆増していく国でやるべきです。
永遠に人口が増え続けることが成功の絶対の条件ではありますが、人口の増加に合わせて激安店舗を増やしていくことで売上高も利益も伸ばし続けることができます。
今後のQBハウスの業績動向も要注目です。

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。