激安店しまむらも業績悪化中!の話


前回書いた鳥貴族など、激安を売りにしていた会社の業績格差が開いてきています。業績キープや伸ばすことに成功している会社もありますが、鳥貴族のように衰退している会社が数多くあります。

しまむらが衰退気味

衣料品販売業であるしまむらが通期業績予想を下方修正しました。
売上高が4%、営業利益と経常利益が35%、当期利益は40%程度とかなり大きめな下方修正です。

衣料品の販売に大きな影響を及ぼす天候が第3四半期以降も不順となり、 10~12 月を通して例年より気温が高く推移したことが影響し、初冬・冬物の販売が伸び悩みました。主力のしまむら事業は、下期に組織変更を行い商品および売場の改革に着手しましたが、十分な効果は得られず、売上高、売上総利益は予想を下回り推移しました。上記による営業利益、経常利益の減少に加え、固定資産の減損損失を計上する見込みとなったため、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても前回予想を下回る見込みとなりました。

通期業績予想の修正に関するお知らせ
減益になってしまう大きな原因は暖冬の影響で秋から冬にかけての売上不振とのこと。しかし各月の売上高の推移を見ると販売が不振なのは秋から冬だけでなく、1年中販売不振ということがわかります。
既存店が前年同期と比べて4月以外の11ヶ月が減少、全店で比較しても4月と1月以外の10ヶ月が減少しています。
年間で見ると既存店が前年同期と比べて6.8%の減少、全店が前年同期と比べて4.8%の減少です。
この年間で27店舗も増えているのに全店で比較して4.8%減少というのはかなりひどい状態です。
2018年3月から2019年2月の売上速報
売上速報サイトに2018年度月次売上速報と書かれていて、2017年3月から2018年2月の売上推移に見えてしまいますが、2018年2月末の店舗数は1,401店舗なのでこのサイトに記載されいてる数字は2018年3月から2019年2月の数字で間違いないと思います。

いつから業績が悪化したのか

秋から冬にかけて業績が悪化したのではなく、1年中販売不振状態というのは売上速報でわかりました。
前年の売上推移を見てみたところ、2017年3月から2018年2月も販売不振状態でした。さらにもう1年前の既存店売上高の前年同期比は1.1%増でした。ほぼ前年と同じ状態です。
もう1年前である2015年3月から2016年2月既存店売上高前年同期比は4.7%増でした。業績が良かったのは2016年2月までだったようです。その前の年は売上が伸びていないので、しまむらが話題になって売上が大きく増えたのがこの1年間だけです。

業績悪化のきっかけ

2016年から2017年にかけて実施した商品数の絞り込みだ。最大約3割にも及ぶ大胆な絞り込みを実施したことだろう。
いわば売れ筋商品への絞り込みで在庫負担を減らし売り場効率を引き上げて高価格帯商品を拡充するという、まさに従来のビジネスモデルからの転換を図ったのだ。

ユニクロ・しまむらに黄信号!2強を駆逐する「ワークマン」強さの秘密
しまむらの一番の強みは「わけのわからない服がいっぱいあること。こんな服を好きな人がいるのだろうか?と思うくらい個性的な服が多いこと。」この強みが商品数絞り込みにより薄まってしまいました。
そして商品の価格帯を少し上げました。少しでも値段を上げると客が来なくなる。これは激安店大好きなクラスタを狙っているお店の宿命です。

激安店経営のカラクリ

激安で客を集めて数で稼ぐ方法です。だから激安店は原則として出店ペースがハイペースです。。店舗数を増やさないと経営が苦しくなるのです。お金が足りなくなるのです。
店舗数を増やすことで売上高は増えます。利益は業績が良い時であっても微増。規模だけ大きくなりますが利益は増やすことはできず、前年並みをキープするのがやっとの状態です。
これはしまむらだけでなく鳥貴族や他の業種の激安店も同じです。一般的には店舗数を増やすこと、店舗数が増えていくお店は業績が良いと思われがちですが、出店を続けていくしかない状態になっている会社も多々あるのです。
しまむらが業績を回復するためには以前のように商品数を増やして、今後も出店を続けていくしかないのではないでしょうか。どこかに行き止まりがあるとわかっていても進むしかない状態です。
しまむらだけで1429店舗、グループ店を合わせると国内に2149店舗。店舗数があまりにも多いこと、そして飲食店ではないので客層を入れ替えることは至難の業だと思います。
品質をさらに高めたり、商品構成を変えても今しまむらで買い物をしたくないと思っている人がしまむらに行く可能性は非常に低いです。私も行きたくありません。
客層を入れ替えるには完全にガラガラポンをしないとダメだと思います。店名から内装から何まで全部1からやり直すしかありません。全店舗は絶対無理なので、やる場合は不採算店だけをガラガラポンするのが現実的ですが、そこまで体力が残っていますでしょうか。
私にはしまむらが業績回復する道筋が全く見えませんし、わかりません。
今後のしまむらの売上推移と店舗数推移、業績推移にも要注目です。

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。