職場の忘年会や納会は業務なので参加をさせるなら飲み代プラス給与や残業代を払うべき!の話

忘年会
忘年会の季節真っ盛りです。夜遅くの下り電車の酔っ払いの多いこと多いこと。そして酒臭くて混雑が激しくて夜遅くの帰り道が憂鬱な季節です。

忘年会には大きく分けてて取引先との忘年会と自社の忘年会の2つがあります。取引先との忘年会は当然業務です。

忘年会の会費など、忘年会にかかるお金は会社が負担するべきであり、休日に取引先の忘年会に出席する場合は休日出勤として扱うべきですし、通常はそのように扱われていると思います。

取引先の忘年会に参加するかどうかは会社の営業方針などで決めるべきことなので今日の主題ではありません。
今日の主題はこちら。

田辺三菱製薬株式会社が、全国の20~40代の社会人男女500名に、職場の忘年会について調査した。その結果、44.2%が「参加したくない」もしくは「どちらかと言うと参加したくない」と回答した。

「もう会社の忘年会なんてやめてしまえばいい」44%が「参加したくない」組織にとってもリスクになり得る

44%の人が会社の忘年会に参加したくないと考えています。逆に考えると56%の人が会社の忘年会に参加したいと考えていることになります。この結果を見ての感想はいかがでしょうか。

中小企業の自社の忘年会や慰労会

大企業の会社主催の忘年会のことを語っても意味がないので、中小企業の忘年会や慰労会についてのことを書きます。

中小企業の忘年会は仕事なのか遊びなのか

会社の忘年会や慰労会、納会などに関してはいくつかの項目に切り分けをして考える必要があると思います。

まず最初に考えるべきことは業務なのか業務外なのかということです。わかりやすく書くと会社の忘年会は仕事なのか仕事外の遊びなのかということです。

忘年会も仕事の一部ということであれば忘年会の飲食代は当然会社が出し、業務時間外だった場合は残業代も支払う。帰りが終電後になってしまった場合はタクシー代を会社が支払う。ここまでやるべきです。

遊びであれば会社は費用負担するべきではありませんし、参加も完全に自由にするべきです。この状態は会社の忘年会などは完全に廃止するのと同じことになります。

現物給与による所得税などの問題

忘年会が仕事の一部であったとしても全員強制参加にするかどうかは会社の自由です。会社の運営方針次第で良いと思います。

しかし一部の人しか参加をしない忘年会の費用を会社が支払ってしまうと現物給与として会社が支払った忘年会費用が給与とみなされてしまい、従業員に所得税や住民税がかかってしまいます。

例えば1人5千円の忘年会費用を会社が支払った場合、従業員は5千円の給料を現金でもらったのと全く同じ税金の計算をする必要があります。

忘年会手当として給与に5千円上乗せをしてもらい、自分で5千円の忘年会費を支払うのと全く同じことになってしまいます。

その5千円に対して税金が引かれてしまうので手取りは5千円に満たない額になり、税金分は自分のお金を払うことになります。

給与として課税されないためには原則として忘年会や慰労会に全員が参加する必要があります。実際は全員でなくても大丈夫なのですが、それでも7割程度の人が参加していないと現物給与として従業員に所得税などが課税されてしまいます。
まかない飯を食べさせてもらうと税金取られちゃうよ!の話

この現物給与という存在が非常に面倒な存在です。会社が従業員に対して慰労や感謝の気持ちを表したり伝えるためには希望者だけが忘年会に参加して、その費用は会社が全部負担するというのがベストだと思います。

しかし希望者だけの忘年会を会社が費用負担をしてしまうと給料を払ったのと同じことになり、従業員に所得税などがかかってしまうのです。税金を支払ってまで忘年会に出たい人はあまり多くないのではないでしょうか。

この現物給与の話を従業員に理解してもらうこともなかなか困難なことです。理解してもらうための手間、理解してもらえたつもりが理解されていなくて後でトラブルになるケースも多々あります。

現物給与という問題があるので希望者だけが出席して会社が全額費用を負担する忘年会は開催しにくいのです。しにくいというより、現実的は無理ということです。

その結果、会社が費用全額負担をする忘年会は全員を強制参加させるしかないのです。行きたくないと思っている44%に人達も仕方なく参加するのです。

仕方なく参加する人達も、来たくない人の費用負担をする会社もどちらも気分が良いわけがありません。時間もお金も非常にもったいないです。
忘年会参加を断りにくい雰囲気や断れない人がいるだけでなく、忘年会にはこのような税金もからんんだ面倒くさい事情があるのです。

中小企業は忘年会をどうするべきか

仕事か遊びかという切り分けの部分と現物給与という面倒くさい税制、参加したい人としたくない人が半分ずつくらいという状況を考えると会社の忘年会は完全廃止するべきだと思います。

忘年会だけでなく納会や新年会や慰労会など、会社が関係する飲み会の類は全て完全に廃止にしてしまう。完全になくしてしまい様子を見るのが一番良いです。

経営者の中には忘年会などを完全になくしてしまうと意思疎通が上手くいかなくなり、業務に支障が出てしまうとの心配をする人がいますが、きっと何も変わりません。

忘年会や会社の飲みがあっても意思疎通ができない人はできない、そんな飲みがなくてもできる人はできるのです。

従業員の全員が、全員でなくても8割くらいの従業員が会社負担で忘年会を開催してもらいたいとの意見を言ってくる時がきたら、

その時に会社負担で忘年会をやればいいのです。言ってこなければなくなってせいせいしているということです。会社の費用負担もなくなり、従業員が無駄な時間を使うことがなくなり良いことばかりだと思います。

意思疎通や人間関係構成は忘年会や慰労会などの飲み以外で、業務時間内にどうすべきか考えるべきです。仕事は仕事時間内にやるべきなのです。
今までやってきた習慣を変えること、なかなか難しいですしきっと無理でしょう。でも間違っていることをどれだけ早く変えることができるかどうか、能力の問題だと思います。

あなたの会社の忘年会がプラスになっているのかマイナスになっているのか、本気で考えてみてください。

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。