鳥貴族が1品18円の値上げで苦戦・この層を狙った商売に旨味はあるのか?の話

焼鳥

鳥貴族が通期業績予想を下方修正

鳥貴族が通期業績予想(平成29年8月1日~平成30年7月31日)の下方修正をしました。
https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/b6ku8h/
2017年10月から1品280円から298円へ18円、6.4%価格を上げた結果客数が減少して売上高が前年と比べて減り、価格を6.4%上げましたが客単価は2%しか増えませんでした。
平成30年6月度の月次報告書
5月も6月も同じくらい既存店売上高と客数が減少していて、さらにさかのぼると1月以降は一貫して既存店売上高と客数が減少しているので、6月がどの程度ワールドカップと週末の悪天候の影響を受けてしまったのかよくわからない結果となっています。
5月と6月共に既存店売上高は約91%、客数は88.6%なのでワールドカップ開催期間と週末の悪天候の影響を考えると6月は下げ止まり、少し回復していると考えられます。急回復するとは思えませんが7月以降の客数と客単価の推移に注目したいです。

売上高と客数減少の原因

280円から298円への18円の値上げの影響が出ているのは間違いありません。既存店売上高の減少は6ヶ月連続、客数の減少は7ヶ月連続で続いているので一時的なこととは言えず、本格的な対策が必要な状態です。

1人あたり135円の値上げで来なくなる客

激安店を28年間も続けてきてしまったツケなのだと思います。6.4%の値上げは値上げ幅としては大きいですが、280円が298円になっただけのこと。値上げ直前の客単価は2,110円だったので135円増えた2,245円になるだけです。
1品18円の値上げであっても、家族4人で行くと負担が大きいので家族での来店数が減っているとの報道もありますが、135円×4人で540円。大人2人と子供2人でしたら値上げの影響は300円から400円程度だと思います。
540円であっても300円であっても、1人あたり135円高くなっただけで来なくなってしまう客を相手にした商売、非常に厳しいですね。激安をストロングポイントとしての商売は短期的には旨味がありますが、長期的な視点で考えると良い商売ではありません。どこかで行き詰まることは間違いないのですから。
和民などの居酒屋や牛丼店、ファーストフード店と同じ道を辿っています。


こんな興味深いツイートが流れてきました。実はこれが真実なのかもしれません。客に対しては正直で親切なサービスではありますが、客層を全く考えていないと言うことはこのことからもよくわかります。

鳥貴族の今後

今後は値下げに動く予定は今のところないようですが、期間限定キャンペーンで客数回復を目指すとのことです。いろいろな記事を読んでいたらこのことが書かれているソースを見失い、行方不明になってしまいました。恒久的な値下げではありませんが、やはりキャンペーンで一時的な値下げで客を呼び戻すという旧来型の対応、痛み止めを飲むような対処療法です。
キャンペーンによる値下げにより一時的に客数は戻ると思いますが、根本的な解決や改善からはさらに遠ざかってしまうことになります。

激安店で勝負か激安店脱却か

結局はこのどちらかしかありません。激安店方向で進むのであれば恒久的に1品280円に戻すか、それ以下の値段にして質と量を落とすか、数量を売ることで利益を稼ぎ出すしかありません。今の状態はあまりにも中途半端です。そのことは値上げから9ヶ月経過して経営陣もよくわかっていると思います。
激安を求める人達に対して値上げをしたら客数が減るだけ。値上げをしただけで付加価値が上がっていなければ新規の客が増えるはずもなく。

値上げと同時に全店禁煙店にしてれいば

完全な後だしジャンケンではありますが、値上げと同時に全店禁煙店にして、値上げ幅も上げて料理とサービスの質を上げていれば結果が変わっていたと思います。今までの顧客のほとんどを切り、顧客の総入れ替えに近いことを狙う作戦です。
焼鳥店は焼き物の煙が充満している影響なのか、タバコの煙があっても変わらないというわけのわからない風潮があります。元から煙たいのだからタバコの煙があってもなくてもかわらないだろう!という変な風潮。その影響からか禁煙店である焼鳥店は極端に少ないです。チェーン店での禁煙店はさらに極上です。
串カツは揚げ物なので、カロリーや身体のことを考えると躊躇してしまいますが焼鳥であれば食べたいと思う時があります。しかし運次第でタバコの煙まみれになることを考えると行くのが嫌になり、長年焼鳥店には行っていません。
完全禁煙店である焼鳥店がほとんどないことから需要がないとの判断かもしれませんが、私は逆だと思っています。他店がやっていないからこそ今すぐに全店完全禁煙店にするべきです。今までの客とはきっと完全にサヨナラです。でも今までの客に頼っていたら会社は終わってしまいます。
完全禁煙店になり、別メニューで美味しい焼鳥メニューも用意してくれたら私は定期的に通います。鳥貴族に行ったことのない人、ほとんど行かない人のの中に同じようなことを考えている人は沢山いると思います。
私は激安店や激安サービスの商売は長期的は必ず滅びると思っています。だからこそ鳥貴族や串カツ田中など、サービス向上よりも値段を最重視しているお店やサービスの動向がとても気になります。


禁煙店である焼鳥店はこんなに注目されることになります。
全店完全禁煙店にすることで客層が完全に入れ替わるまでは売上高減少の可能があります。今の鳥貴族ならば十分に持ちこたえることができますし、持ちこたえることができる今やるべきです。
今後の鳥貴族の業績推移を興味深く見ていきたいと思っています。

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。