確定申告の提出期限が過ぎてしまったらどうしたら良いか?の話

確定申告
2018年分の確定申告の申告期限は3月15日です。今年は申告期限が週末の金曜日であるため、実際には3月18日に税務署職員が登庁してきて夜間ポスト内の書類を回収する時まで、18日の7時から7時半頃というのが実際の申告期限になります。

確定申告書の提出期限の現実の話や裏技は昨日詳しく書きました。
確定申告提出期限の裏技!の話

今日は3月18日の朝までに確定申告書を提出できそうもない人、実際に申告期限内に確定申告期限を過ぎた場合はどうするべきかを書きます。

確定申告提出期限日に間に合わなそうな人

確定申告が提出期限日に間に合わなかった場合のデメリットは大きく分けて2つあります。

1つが税務上のデメリット、もう1つが社会的なデメリットです。

税務上のデメリット

期限内に確定申告書を提出できない場合、期限内に申告をした場合と比べて多くの税額を払うことになります。

申告期限に間に合わなかった場合は特例を受けられなくなったり、罰金や利息が課されたりなど書き切れないくらい沢山のデメリットがありますが主なデメリットは下記のようなことです。
・65万円の青色申告特別控除が受けられず、10万円の控除しか受けられない。
・税額に対して15%から20%の無申告加算税が課される。・
・税額に対して7.3%から14.6%の延滞税(税金に対する利息)が課される。

1番上の65万円の青色申告特別控除の件、この特例を受けようと思っている人が期限内に申告できない可能性、しない可能性は低いと思います。

問題は2番目と3番目。特に2番目の無申告加算税の部分です。多くのサイトが確定申告が期限内に間に合いそうもない場合は無申告加算税を避けるために、どのような内容であっても、ムチャクチャな内容であってもとりあえず確定申告書を提出する。

そして期限後にゆっくりと修正申告書を出すべきと書いています。

どのような内容であっても期限内に確定申告書を提出することで15%から20%の無申告加算税が課されません。

申告だけして税金を納付しなかった場合であっても無申告加算税の代わりに10%の不納付加算税が加算されることになります。

どのような内容の申告であっても、申告だけして税金を納付しなくても15%から20%の無申告加算税を払う必要がなくなり、不納付加算税10%だけで済みます。

多くのサイトではこの方法を推奨しています。加算税の額、税額のことだけを考えるとこの方法は得な方法ではありますが、税法の趣旨に沿った処理ではなく、脱税行為と言えるかどうかは微妙ではありますが節税とは言える行為ではありません。

無申告加算税を避けるために適切でない内容の確定申告書を提出する行為は恥じるべき行為だと思います。

社会的なデメリット

事業をしていると確定申申告書を他社に提示する機会があります。取引先に見せる機会はあまりないと思いますが金融機関と取引をする場合は必ず確定申告書の控えを提示することになります。

事業用資金の借入時だけでなく、住宅ローンの依頼をする時にも確定申告書の控えを金融機関に提示することになります。

この時に控えに押されている受領印の日付が期限後だった場合、信用が著しく損なわれます。直近の確定申告が期限後になってしまった場合はほぼ融資は不可能、3年以内に期限後申告になってしまった年がある場合も融資は諦めた方が良いです。

ここで言う金融機関とは銀行や信用金庫などのことです。金利が7%以上のノンバンクは貸倒れ前提での金融機関なので話は別です。高利の金融機関が期限後申告でも貸してくれるかどうかは私にはわかりません。

しかし7%などの高利で事業用資金を借りるくらいなら事業をやめて会社員になった方が良いと思います。

確定申告提出が期限に間に合わなかった場合、加算税などの金銭的なデメリットよりも金融機関などに対する信用失墜の影響の方が圧倒的に大きいと思います。

事業をやめて会社員になった場合であっても、結婚をして仕事をせずに主婦になった場合であっても住宅ローン設定時に影響が出てしまうことがあります。住宅ローンへの影響、数年経っても影響が出ることがあるのでこの部分で公開をする人が非常に多いです。

確定申告が期限に間に合わない理由は怠け心が原因である場合は99%以上です。後で後悔しても遅いですし誰も同情してくれません。

確定申告の期限が過ぎた場合どうすれば良いか

まずは3月18日に税務署に電話をして確定申告書を期限内に提出できなかったこと、提出できなかった理由を正直に話し、いつ頃までに提出できそうかを伝えましょう。

3月18日も税務署の電話はつながりにくく、税務署職員もかなり忙しいので電話連絡をすることで迷惑をかけてしまいますが、それでも電話をして上記のことを伝えましょう。

そして4月15日までに確定申告書を提出して所得税の納付も済ませましょう。過去に悪いことをしていないなど、少し条件はありますが申告期限から1ヶ月以内に確定申告書を提出し、税金を納付した場合は無申告加算税は課されません。

他の多くのサイトが推奨している適当な内容での期限内申告、そして期限後の修正申告という方法、これは絶対にやめましょう。

この方法は税務署に対しても金融機関に対しても不信感と非誠実な印象を与えてしまいます。脱税行為とは言い切れませんが、他者からの信頼が得ることを難しくしてしまう行為です。

本気で事業を続けていくのならば怠けて申告が間に合わなかった罰は受けてください。そして来年からは2度と同じ失敗を繰り返さないようにしてください。

確定申告を提出すべき日は申告期限の最終日ではなく、提出期間の初日です。来年からは確定申告提出期間の初日である2月17日(本来は2月16日ですが来年は2月16日が日曜日のため2月17日からのスタートになります。)に提出しましょう。

早ければ良いというものでもありませんが、申告に関しては早い人ほど質が良く、遅い人ほど質が悪い傾向があります。エビデンスはありませんがこれは間違いありません。

まだ確定申告提出期限(2019年3月18日早朝)まではもう少し時間がありますが、期限に間に合わなかった場合は小手先の汚い手段は使わずに誠実な処理や連絡をするべきです。

裏技とか不誠実な対応を推奨しているサイトを信用せず、自分が逆の立場だったらということを考えた対応をすべきであり、それができないのであれば事業は辞めて雇用される立場に戻るのが幸せだと思います。

不誠実で怠けた対応は自分が困るだけでなく、周りの人に大迷惑をかけてしまうということは頭の中に置いて申告も含めた仕事をするべきです。

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。