お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実さんが設立した会社が東京国税局から1億2千万円の申告漏れを指摘されました。
お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実氏(44)が設立した「チューリップ」(東京)が、東京国税局から2018年までの7年間で約1億2000万円の申告漏れを指摘されたことが関係者の話でわかった。そのうち約2000万円は、仮装・隠蔽を伴う所得隠しと認定された。重加算税や無申告加算税などを含めた法人税の追徴税額は約3400万円。既に修正申告し、納付したとみられる。
チュートリアル徳井氏の会社、1億2千万円の申告漏れ…2千万円は所得隠し
徳井義実さんの申告状況を推察
詳しいことは報道されていません。今わかっているのは2012年から2015年までの4年間に約2千万円の架空費用を計上をしたこと、2016年から2018年までの3年間は法人税の申告をしておらず、1億円の所得(利益)が無申告状態だったこと。
2012年から2015年の脱税
本来費用とすべきでないプライベートな旅費などを会社の費用として処理していたようです。
単純に2千万円を4年で割ると1年に500万円。この500万円が費用にならずに利益となるので法人税等が課税されます。
さらに費用ではなく徳井さんへの役員賞与と認定されているはずなので500万円に対する消費税8%が課税されます。
そして徳井さん本人に対して500万円の役員賞与が支払われた処理になるので所得税や住民税が徳井さん個人に対して課税されます。
会社と徳井さんの追徴税額の合計はおそらく2千万円くらいだと思います。
2016年から2018年の脱税
脱税も何も申告書を提出していなかったようなので、3年分の決算をして申告をしたのだと思います。
この3年間は架空費用の計上や売上除外などの脱税行為をするはずもなく、普通に申告をしたのでしょう。
7年分の追徴税額の総額は3,400万円程度と報道されているので、この3年間分の追徴税額は1,400万円程度ということになります。1億円の所得(利益)に対しての税額としては少なすぎます。
3,400万円という追徴税額総額は会社の分だけで、徳井さん個人への追徴税額は含まれていない可能性があります。
報道されている内容が少ないのでこれ以上のことはよくわかりません。7年分に関しては上記の様な内容で課税されたと思われますが、報道されている数字の表現方法が適切でない可能性を感じます。
徳井さんの会社は解散か休業する可能性
個人に青色申告があるように、会社にも青色申告制度があります。普通の会社は全て青色申告の承認を受けています。
青色申告の承認を受けていることが前提となっているので、青色申告承認を取り消されると会社経営をすることが非常に困難になります。
2年連続で申告書を提出しない場合は青色申告承認が取り消されます。
法人の青色申告の承認の取消しについて
徳井さんの会社は3年間申告していなかったので青色申告承認が取り消されます。今後この会社を経営することは無理です。
徳井さんは新しい会社設立
今回税務調査を受けた会社、株式会社チューリップの全部事項証明書(謄本)の閲覧と取り寄せをしようとしたのですが、変更登記中とのことで閲覧することも取り寄せることもできませんでした。
脱税事件の影響で徳井さんの会社の全部事項証明書(謄本)を見る人が極端に増えることへの対策か、解散等の手続きをしているのかもしれません。
青色申告の承認を取り消される株式会社チューリップは解散か休業状態にして新会社を設立するのは間違いないと思います。
簡単な手続きのように感じるかもしれませんが、いろいろな契約や税務財務手続きがあるので関係者は相当参っていると思います。
株式会社チューリップの全部事項証明書(謄本)は取り寄せることができる状態になり次第内容を見てみます。役員構成や設立年月日に興味があります。
重加算税とは
税務調査に関するニュースによく出てくる言葉に重加算税と見解の相違という言葉があります。今回の徳井さんの件では見解の相違という言葉は出ませんでしたが、重加算税が科されているにもかかわらず故意ではなかったと述べています。
重加算税とは故意による意図的な不正行為をした場合の罰金のことです。見解の相違と言われる法令解釈の違いや、処理や計算間違いの場合には科されません。
どのようなことをすると重加算税が科されるか
下記のような場合に重加算税が化されます。
・売上などの収入を意図的に隠した場合
・帳簿や書類を故意に破棄したり隠している場合
・帳簿書類の改ざんや偽造をした場合
・二重帳簿を作成していた場合
他にも要件はありますが、簡単に書くと脱税行為をした場合に科される罰金です。重加算税が科された場合は間違いや法令解釈違いではなく、意図的に税額を減らす行為である脱税をしたということです。
法人税の重加算税の取扱いについて
よくある脱税行為は下記のような行為です
売上除外
売上を隠し、入金も隠し口座や他人名義の口座へ振り込ませたり現金の状態で隠す資産隠しもセットで行われる行為です。
脱税行為の中で売上除外は一番悪質であり、商行為の中で一番高額であることから税務調査の中で最重要項目として扱われます。
税務調査で隠している売上を探す方法の基本は費用から売上を追っていきます。仕入や外注加工費、旅費交通費や交際費の住所などから隠されている現場や取引先を探しだします。
売上を隠しても、その対象となる仕入や外注加工費や費用を完全に隠すことは非常に難しいので、どこかでボロが出てバレてしまいます。
飲食店も仕入量から売上金額を推定されます。おしぼりや割り箸の数からも客数と売上金額を推定します。手書きの伝票を使っている飲食店には税務調査前に何度かお店で飲食をして、調査時に自分の飲食した分が売上計上されているかをチェックします。
このようなことで税務調査時にバレてしまうことが多い売上除外、売上を間違えたとは言えないような状態で申告をしていた場合は重加算税の対象になります。
仕入先や外注先と共謀して現場名や納品物の書き換えなどをしていた場合は間違いなく重加算税の対象となります。
このような悪意のある小細工をした場合、税務調査でその部分を調べられた場合はほぼバレると思っておいた方が良いです。
架空費用の計上
架空の仕入や外注加工費や人件費の計上、仕事には関係のないプライベートな費用を経費として処理してしまうことも架空費用の計上となりますので非常に悪質な行為です。
仕入や外注加工費、交際費や広告宣伝費などは架空の請求書を発行してもらいその金額を振り込む。そして手数料を引いた金額を現金で裏金として戻してもらう。
裏金の作り方として以前書いた方法と全く同じです。
リベート裏金の作り方!の話
最近では青汁王子と言われていた三崎優太さんが経営していたメディアハーツが架空の広告宣伝費を計上して、裏でバックしてもらうという古典的な方法で多額の脱税をして逮捕されました。
税務調査があった場合はこの方法による架空費用の計上もすぐにバレるのでやめるべきです。架空の案件はどうしても不自然な部分が残ってしまうのでバレてしまうのです。
架空人経費の計上
勤務していない人に給与を支払ったことにする、実際に支払った給与の金額より多い金額を費用計上する、本来支給すべき人とは別の人に給与を支払ったことにする。全てが架空人件費です。
しっかりとした会社であればタイムカードや出勤簿、その人の仕事場やデスクや仕事ぶりや会話などの対応を見られてしまうと簡単にバレてしまいます。他の架空費用もそうなのですが、どうしても架空であるものは不自然さが残ってしまうのです。
架空人件費も他の架空費用と同様、悪質な脱税行為です。少額であっても脱税です。
飲食店から白紙の領収証をもらう行為
飲食店から白紙の領収証をもらう行為、これも架空費用の計上ですので非常に悪質な行為です。昔からみんながやっているからと気軽に適当な数字を書いて費用処理している会社が多いと思いますが、完全な脱税です。今すぐやめましょう。
1枚や2枚ならバレませんが、これをやっている会社は毎年何十枚も白紙の領収証を使って脱税していると思います。筆跡等でバレてしまいますし、非常に厳しい税務調査になってしまうのでやめるべきです。コストパフォーマンスが悪い行為です。
仕事と関係のないプライベート費用の計上
プライベートな旅行や遊びの高速代、ガソリン代や飲食代や宿泊費。これも架空費用計上です。白紙の領収証と同じくらい気軽にやっている人が多いと思いますが脱税です。重加算税を科されて非常に厳しい扱いをされてしまいます。
他にも自宅のプライベート用のパソコン、エアコン、自宅の内装や外装工事、屋根の張替えなど。明細を作り替えて会社の費用にしてしまう行為も脱税です。明細を書き換えても税務調査時に現物を見せろと要求されたり、社内のどの部分の工事かを聞かれてすぐバレてしまいます。
昔からみんながやっている行為だから自分も!という軽い気持ちでやってしまうのでしょうが、そんなに軽い行為ではありません。架空費用計上という完全な脱税行為です。
帳簿や領収証など重要書類の破棄
儲かった証拠がなければ課税されることはないと考え、全ての書類を捨ててしまえば良いと思っている人もいると思います。昔は税務調査の連絡があった直後に全ての請求書や領収証、通帳などを燃やしてしまった人がいました。今も同じようなことをして逃れられると考えている人がいると思います。
重要書類の破棄は税務当局に真っ正面から喧嘩を売ることになります。そして費用として処理するために必要な書類も捨てることになってしまいます。費用に関係する、自分にとって都合の良い書類だけを残す方法もありますが、重要書類破棄という無謀行為をする人に自分に有利な書類だけを残す判断能力はないと思います。
仮に都合の良い書類だけを残すことができたとしても、税務当局の怒りを買うだけで得することは何もありません。
売上や収入に関する書類を全て捨ててしまった場合、おそらくほぼ全ての収入を掴まれてしまうと思います。税務当局にとって何もない状態から全てを掴むのは難しいことなので長期間の税務調査になります。
税務当局に喧嘩を売ったわけですから、長期間の調査中に何度も会社に来られたり呼出されたりなどの嫌がらせをされます。来所も呼び出しも任意ではありますが、本業に相当の影響が出てしまいます。
税務当局に媚びる必要は全くありませんが、無駄に喧嘩を売る行為はやめるべきです。
重加算税が科されたとの報道の読み方
ここまで書いたように意図的な脱税行為をした時に重加算税という罰金が科されます。間違いや法律解釈の相違、見解の相違が理由で重加算税が科されることはありません。
徳井さんの件だけでなく、企業に税務調査が入ったことの報道の中に重加算税が科されているにもかかわらず「当社に違法行為はなく、見解の相違があったので税務当局の指摘に従って修正申告をして追徴税額を支払った」との記事をよく見ます。
これは嘘です。脱税行為がない場合は重加算税は科されませんし、脱税行為を会社が認めない場合は修正申告はせず戦うはずです。修正申告に応じたということ、重加算税を支払ったということは脱税の認識があり、脱税を認めたということなのです。
年に数回は有名な企業に対する税務調査の記事、追徴課税の報道があります。重加算税という部分に注目をして読んでみてください。脱税行為について正直に発表する会社は皆無だと思います。
追記
新しいニュースが掲載されました。
徳井さん、追徴課税1億円超えていた 昨年末納付済ます。
https://news.livedoor.com/article/detail/17285708/
2012年から2015年の脱税部分に書きましたが、脱税をした場合は会社分と個人分を会わせて脱税をした対象金額とほぼ同額がそれ以上の追徴税額を支払うことになります。
なので2千万円の所得隠しに対して会社と個人と会わせて2千万円の追徴課税を受けたと思われると書きました。
総額3,400万円の追徴税額だった場合は1億円の所得隠しに対して1,400万円の追徴税額。おかしいと思っていました。
1億2千万円の所得を隠していたので追徴税額は会社と個人合わせて1億2千万円超だったと思われます。
この件はモヤモヤしていたので、このニュースを読んでスッキリしました。
所得を隠してバレた場合は隠した金額とほぼ同額の追徴税額を支払うことになるということです。