テレビの法律相談番組では夫婦の財産は名義がどうであっても、持ち分はそれぞれが半分ずつであると放送されています。民法上では妻が専業主婦であり、収入は夫だけで年収500万円、貯金が夫名義の1千万円だけだった場合、この1千万円の貯金は夫と妻の共有財産であり、所有権は夫と妻共に500万円ずつと判断されます。これは民法上での解釈です。民法詳しくないので違ってたらごめんなさいw
テレビではこんな感じで名義がどうであっても預金も不動産も夫婦の稼ぎの額に関係なく平等で半分ずつであると放送し続けています。これは民法上は嘘ではないのですが、こんなテレビを信じていると税法上ではとんでもないことが起きてしまいます。
住宅購入時
専業主婦の場合
テレビで放送された財産は半分半分であるを信じて、妻が専業主婦で妻名義の口座からの頭金支払いは0,住宅ローンは夫単独名義、不動産の持ち分は土地も建物も2分の1共有。こんな買い方をしてしまう人が沢山いると思いますが民法と税法は全くの別物で、民法で所有の権利が許されても税法では原則通りに課税をされてしまいます。
3千万円のマンションを夫名義の預金から現金払いで購入して、土地と建物の持ち分を2分の1ずつの共有にした場合、税法上は普通に夫から妻へ1,500万円の贈与があったものとして扱われます。贈与があった1,500万円から基礎控除である110万円を引いた1,390万円に対する贈与税額は1,390万円×40%-190万円=366万円になります。
この366万円は妻名義の口座から支払う必要があります。夫名義の口座からお金をおろして支払うと、この366万円に対して新たな贈与税が課され366万円×15%-10万円=約45万円の贈与税が課されることになります。
自宅を買うと税務署からお尋ね文書が届きます
まず間違いなく届きます。買った自宅は誰の預金と誰の借入から購入したのか、細かく記載を求められます。任意のお尋ねではありますが、返答をしないとしつこく問い合わせがあり、それでも返答をしないと税務署への呼び出しの連絡がきます。任意ではありますが実際は強制の状態です。自宅を買う時は税務署からのお尋ねが届き、自宅を買った資金の出所を事細かに税務署に報告して買う必要があります。
住宅をローンで買った場合の考え方
3千万円のマンションをフルローンで買った場合の考え方です
持ち分は基本的には給与の比率をベースにして考えます。給与が50万円と30万円の場合は5対3、100万円と20万円の場合は10対2。収入がない人は持ち分0にするのが基本です。権利と税金は全く違うのです。頭金と住宅ローンで買った場合
まず頭金を誰の口座からいくら出すかということがポイントです。口座名、そこが全てになります3千万円のマンションを頭金1千万円で買った場合
夫の口座から500万円、妻の口座から500万円を出金して頭金1千万円を支払った場合、残りの2千万円はそれぞれの給与金額の割合にすることが原則となります。夫の給与が月額50万円、妻は専業主婦だった場合は2千万円のローンは夫が支払うこととすべきで、夫の支払総額は2,500万円、妻の支払総額は500万円。85対15くらいをベースの持ち分を割り当てることになります。
夫の給与が月額50万円、妻の給与が月額150万円だった場合は2千万円のローンのうち500万円を夫が、1,500万円を妻が支払うこととすべきなので夫の支払総額は1千万円、妻の支払総額は2千万円。1対2くらいをベースに持ち分を割り当てることになります。
異常な持ち分には贈与税が課税されます
3千万のマンションを買い、夫と妻との持ち分割合を1対2でをベースに考えるべき状態の時に、1対0にしてしまい全て夫の持ち物にしてしまった場合にどのようなことになるか。妻から夫へ2千万円の贈与があったものとみなされます。2千万円の贈与に対する贈与税額は635万円です。みんなどうしているのか
こんなことを考えずに持ち分を決めている人がほとんどなので、税務署からのお尋ねがきてビックリ!そしてお尋ねに返答した後の贈与税に関する調査の連絡がきてさらにビックリ!そして贈与税の額を聞いて失神・・・というパターンが多いです。みんな高額な贈与税を支払うのか
税務署から指摘されても635万円の贈与税を支払う人はいません。ではどうするのか。贈与税が発生しない持ち分に置き換えて登記のやり直しをします。錯誤という登記方法になるのですが、持ち分が変わることで所有権が変わる部分があるので、優遇措置は全く無しで修正部分には不動産取得税がかかってきます。家を買う時は持ち分割合の計算は要注意です。特に会社経営をしている夫婦の場合はこの部分を何も考えずにやってしまうと、かなり痛くて余分な出費になってしまいます。
テレビの法律相談番組の話は真に受けず、住宅購入をする時は必ず専門家に相談してください。そのお金をケチることで桁違いの手間と税額が発生してしまうので要注意です。