クラウドファンディングで集めたお金に税金はかかるのか?の話

クラウドファンディング
クラウドファンディングで資金を調達した場合、どのような時に税金がかかってきてしまうのでしょうか。
クラウドファンディングに関する税金の話が書かれたサイトは沢山ありますが、幅広く書かれすぎていてわかりにくいので、よくあるパターンだけに絞って書きます。
主なクラウドファンディングのパターンはこの2つです。ファンド型などのクラウドファンディングを行う人は専門知識がある人だと思いますのであえて書きません。

購入型クラウドファンディング

これは普通に物を売る商売と全く同じ処理になります。法人の場合は法人税の対象となり、個人の場合は所得税の対象となります。
個人の場合は事業所得か雑所得として処理をすることになります。金額の規模が大きかったり継続的な取引の場合は事業所得として処理をすることが可能ですが、単発であったり少額である場合は雑所得で処理することになります。
目安はそのクラウドファンディングで生計を維持できるかどうか。生計が維持できるだけの金額と継続性があれば事業所得であると判断して良いと思います。

寄付型クラウドファンディング

調達者が個人の場合

法人からの調達は所得税の一時所得の対象となり、個人からの調達は贈与税の対象となります。
法人、個人どちらからの調達であっても調達した金額には贈与税か所得税が課税されてしまい、その後のボランティア活動などで使った金額は費用の形で利益から減算されることはありません。

調達者が法人の場合

営利と利潤の追求を目的とした株式会社の例を書きます。法人から調達した場合も個人から調達した場合も受贈益として利益計上する必要があり、法人税の対象となります。
受贈益という変わった名前ですが結局は売上と同じです。受贈益から費用を引いた利益の部分が法人税の対象になります。
ここで注意が必要なのはボランティアのような活動をするために株式会社で寄付型のクラウドファンディングをした場合です。
調達した金額は受贈益として全て利益計上をすることになります。個人で調達した場合はこの後のボランティア活動などにかかった費用はプライベートな支出と見なされて税額に全く影響しないと同じで、法人であっても活動にかっかった金額は原則として費用とすることはできません。
売上を得るための直接的な費用は費用計上をすることができますが、通常はほぼ全ての支出が寄付金という扱いになります。
会社ではほぼ費用とすることができず、ボランティアとして援助してもらった法人は受贈益を計上、個人は一時所得として所得税の対象となります。
非課税の枠があるので、全てに課税されてしまうわけではありませんが、お金が動くと原則として動いた先で課税されます。
寄付型のクラウドファンディングで集めた資金で金儲けをする場合、金儲けをするために使った費用は当然費用処理をすることができます。通常の会社経営の費用と全く同じ扱いです。
しかし金儲けをするために寄付を募った場合にお金がどの程度集まるのか。寄付に対する何かしらの見返りのようなリターンを設定したとしても、リターンが大きすぎると手元資金が増えませんし、リターンが小さいと寄付が集まらない。
通常の株式会社で寄付型のクラウドファンディングをするのはコストや手間、リターンを考えるとやるべきではないと思います。
特殊な事情があり、おまけのような使い方であれば良いですが、本気で何かをやりたい時には全く向かない手法です。
金儲けをしたいわけではなく、寄付型のクラウドファンディングでお金を調達してボランティアなど他人の為になることをしたい場合に、損をせず効率良く運営する方法はないのでしょうか。
規模などによりケースバイケースではありますが一般社団法人を設立すると方法があります。
一般社団法人を設立してどう運営をすることでどうなるのか、私の嫌いな机上のなんたらの話になってしまいますが、次回は一般社団法人のことを詳しく書きます。

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。