ZOZOTOWNの原価は安すぎるのか?の話

原価
ZOZOTOWNの前澤社長がお店で売られている商品の原価が2割から3割程度であることをツイートしたら炎上してしまい、前澤社長はそのツイートを削除してしまいました。


そしてこのツイートを残し、しばらくツイッターはお休みということになってしまいました。

商品の原価率

ZOZOTOWNで売られている服の原価率が20%から30%程度であることを前澤差社長がツイートしたことで、原価や原価率の意味さえ知らない人が噛みついたり吠えたりして盛り上がっています。


永江さんが書かれているこの感じが現実であり、率に幅がありますが業態や業種により様々ですのでこれ以上のことはケースバイケース過ぎて書くことができませんし、書くことに意味がないというのが正解なのです。
飲食店や製造業の話もグチャグチャに混ぜて書いている人が盛沢山です。少なくてもZOZOTOWNの話は小売店の話であり、商品販売の話です。
仕入れた物を加工したりせずにそのままの形状、性能のまま販売をする業態です。この場合の原価は仕入価格ということになります。
家賃や光熱費や人件費も原価に含めてなんちゃらと書いている人がいますが、それは間違いです。商品販売の原価は商品仕入価格だけなのです。
売上金額から原価を引いた金額が売上総利益(粗利益)であり、売上総利益から一般管理費(費用)を引いた金額が営業利益であり、営業外収益を足し営業外費用を引いた金額が経常利益。
経常利益に特別利益を足し特別損失を引いた金額が税引き前当期純利益金額であり、さらに法人税等を引いた金額が当期純利益金額になります。という感じで会社の最終利益を導いていきます。
どの費用がどの部分に入るか理解できている人は少ないはずです。
人件費や家賃や光熱費などは全て一般管理費であり原価ではないのです。在庫のロスも原価に含めるのは不適切であり、特別損失で処理すべきです。
従って売上と売上原価は完全にセットになっているということになります。売上原価は売上が計上された時に費用として計上される。これが会計の原則です。
商品の仕入だけでは費用にならないのです。仕入れた商品が売れた時に売れた商品にかかる仕入値が売上原価として費用計上することができるのです。非常にわかりにくいですけど、わかりますか?
これに対して一般管理費(費用)は支払った時に費用計上をすることができます(1年以内の費用に限るなど条件はありますが)。原価と一般管理費には処理方法も考え方も大きな違いがあるのです。

ZOZOTOWNの原価率は低いのか

原価の3倍から5倍の金額で売ることができるというのは商品力の強さと素晴らしさだと思います。
ぼったくりとかヒドイことを書いている人もいますが、押し売りをしているわけではなく、消費者はその金額で欲しいと思って買っているのです。
ZOZOTOWNの原価率は批判すべき部分ではなく、原価率40%未満を維持していることを賞賛すべき部分であり、商売の方向として見習うべき点が沢山ある素晴らしい商売だと思います。
ちなみにしまむらの原価率は65%です。そういうことなのです。

飲食店の場合

ラーメン店やバーなどは特殊なので利益率がかなり変わってきますが、その他の飲食店の原価率は35%くらいです。
原価率35%の中には使えずに捨ててしまうロス材料も含みます。飲食店の場合は原価率30%前半を目指し、40%に接近すると危険ゾーンです。
戦略として40%超の原価率の料理を提供する方法もありますが、意図的ではなく自然に原価率が40%近くになってしまう状態は絶対に避けたいところです。

飲食店の原価とは

飲食店の原価も小売店と同じで仕入れた食材や調味料、お酒などだけです。人件費や家賃などは原価ではなく一般管理費として処理をします。

製造業や建設業の場合の原価

この話と小売店や飲食店の原価の話をゴチャゴチャに考えている人が多く、わかってもいないのに専門用語っぽい言葉を使っている人がいっぱいです。
製造業などの原価は製品を作るためにかかった費用も含めて原価となります。材料代、外注加工費、人件費、使った機械の減価償却費などなど。複雑怪奇でツイッターでゴタゴタ言っている人が理解できる範疇を完全に超えています。
製造原価に関してはわかる人はわかっていて、わからない人は読んでもさっぱりわからないと思うのでブログに書いても無駄だと感じています。
この件はネタ切れになり、暇になったら書いてみたいと思っています。

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。