会社員が副業で飲食店やお店経営をして赤字だとどうなるのか?の話


普通に会社員をしていると年末調整を会社にしてもらい、他に収入がなければ確定申告をする必要はありません。

税の世界には収入と所得という言葉があります。収入とは給与の場合社会保険料や所得税、住民税を引かれる前の金額のことであり、個人事業主にとっては売上金額のことになります。

所得とは給与の場合は給与所得控除を引いた金額、個人事業主の場合は売上から費用を引いた利益の金額を所得と言います。

給与以外に収入がある人

会社員をしながら飲食店などのお店を経営している場合、給与所得に事業所得である飲食店やお店の所得金額(利益金額)を足して確定申告をして納税をする必要があります。

この仕組を利用して節税をしている人がいます。法的には違法ではありませんがとてもインチキ臭いやり方で納税額を減らす方法があるのです。

副業のお店が赤字の場合

通常は副業でお店を経営していた場合に赤字ということは考えられません。赤字だったらお店を閉めてしまえば良いだけです。と言うより副業で赤字のお店を経営する人などいません。

同じ赤字のお店であっても他人である従業員への給与がない場合は話が変わってきます。青色申告を選択することで生計が一緒である奥さんや親に給与を支払い費用とすることができます。

奥さんに480万円、親に240万円の給与を支払うことによりお店が300万円の赤字になってしまった場合は本人の給与所得から200万円の赤字を引いて還付申告をすることになります。

給与金額が少ない人の還付金額は少ないですが給与所得が2,100万円以上の人は300万円×40%=120万円の還付申告になります。そして翌年の住民税は300万円×10%=30万円安くなります。

これだけで150万円税金が安くなります。お店は300万円の赤字状態ではありますが奥さんに480万円、親に240万円、合計720万円の給与を支払った結果の300万円の赤字状態。720万円の給与を除くと420万円の利益が出ている状態です。

生計が一緒である奥さんと親に720万円の給与(専従者給与)を支払うことで300万円の赤字状態。これがどのような状況かわかりますでしょうか。

実際は400万円の利益が出ているにも関わらず、お店の利益に対しては1円の税金も払わないで済みます。

奥さんの給与480万円に対して所得税が19万円くらい、住民税が30万円くらい、計50万円。親の給与240万円に対して所得税が5万円くらい、住民税が11万円くらい、計16万円。2人の合計税額は66万円です。

150万円の還付申告に対して66万円の納付、差引で84万円納税額が少なくなります。84万円が少ないと感じるか多いと感じるかは人によると思いますが、10年続けると840万円になります。840万円はさすがに魅力を感じるのではないでしょうか。

問題はないのか

奥さんや親への給与金額が仕事内容に見合ったものであり、その他の売上や費用処理に適正であれば問題はありません。脱税ではなく節税です。

給与と事業所得、給与と不動産所得、雑所得(年金)と事業所得、雑所得(年金)と不動産所得と組み合わせて税額を低くしている人がいます。

しかし、私の経験からすると適正でない人が多いです。節税ではありますが、このような方法で税額を安くしようと考える人の思考はケチくさく、どうしてもいろいろな処理が雑で節税と言うより脱税方向に偏ってしまうことが多いです。

基本的にせこいので頼む会計事務所は安い会計事務所。安い会計事務所は面倒くさいから言いなりで適当な処理をします。

全てではないですがだいたいこんな感じの流れになります。

今まで税務調査や問い合わせがなく得した気持ちになっている人も税務調査が入り3年分、5年分とまとめて徴収されてしまう可能性があります。

このような処理に心当たりがある人はそろそろ危ないことはやめておいた方が良いと思います。

この記事を書いた人

山口 健一

20年以上会計事務所で勤務し、20件以上の税務調査経験があります。

これだけの経験がある私だからこそ税理士との交渉をスムーズでわかりやすいものにするお手伝いをすることができます。

税務、法務、労務など会社経営に必要な全て業務知識を網羅しており、私が可能なことは私が対応をし、専門家に依頼すべきことは適切な専門家に依頼、仲介をすることができます。