先日久しぶりに管轄の税務署に行ったことを投稿しました。昔も非効率的な役所とのイメージがありましたが、今の税務署はさらに退化していると感じました。
税務署の変化は進化ではなく退化だった!の話
税務署の職員が怠慢だったり傲慢だったりサボっていたわけではなく、とても丁寧で気持ち良い対応をしていました。
実はこの丁寧で気持ち良い対応が退化の一番大きな原因なのです。
税務署の丁寧な対応はどうしてダメなのか
日本の国税は申告納税制度となっています。申告納税制度は、納税者自らが税法を正しく理解し、その税法に従って正しい申告と納税をするという極めて民主的な制度である。
申告納税制度の理念とその仕組み
具体的にどうすべきかというと、所得税の場合であれば確定申告書を自分で作成をして提出をする。自分で確定申告書の作成をできない人、作成をしたくない人は税理士に申告書の作成を依頼して確定申告書を作成してもらい提出する。
これが全てなのです。自分で確定申告書を作成できない場合に税務署に行って教えてもらいながら申告書を作成するのは間違った行為なのです。
申告書の書き方を聞くべき相手は税務署ではなく税理士なのです。税務署は申告書を提出する場所であり、提出された申告書の内容を精査したり税務調査をして適正な税額を徴収することが税務署の仕事なのです。
確定申告書の書き方を教えることは税務署の仕事でありません。自分で申告書を作成するための学びをするのが嫌な人や無理な人や税理士にお金を払いたくない人が税務署の職員に無料で教えてもらおうとして集まってきているのです。
本来申告書は自分で作成するべきもの、自分で作成できない場合は税理士に依頼すべきもの。申告書の作成はこの2択ということを知らない人が多すぎます。
税務署に行き、税務署職員に1から10まで教わりながら申告書を作成する行為は行政機関の仕事を邪魔していることになるのです。
わかっていてやっているのならまだ良いのですが、申告して税金を払ってやるんだから税務署職員が申告書の書き方を教えることは当たり前!と思っている人が多すぎです。
無料にたかってくる人達が多額の税額を払っていることは少なく、微々たる税額しか払っていないくせに税務署職員の時間を使ってしまっているのです。
間接的な税金泥棒です。
対応の良さが逆効果
昔は税務署の職員は高慢で威張っていて態度が悪くてなどと言われていました。そのような苦情が多かった影響で今は親切丁寧に対応してくれる人が多くなりました。こうするしかないので仕方のないことですが、この影響で税務署に申告書の書き方を聞きにくる人が減りません。
確定申告が1年に1度の大イベントになってしまい、確定申告期間は税務署職員にとって毎年地獄の期間となってしまっています。3ヶ月から4ヶ月間、まともな仕事ができなくなってしまう期間です。
このような状態がずっと続いている影響で税務署は進化することなどできるはずもなく、退化の一途を辿っています。
税務調査の質が落ちていることも関係していると思います。本来力を入れるべきところに力を入れることができず、無料にたかってくる人達の対応がメインの仕事になっていることによる悪影響は計り知れません。
税務署が取るべき対応
無料にたかってくる人達を追い払うしかありません。税務申告や届出書の書き方を1から10まで教えてもらいに来る人を拒否すること。一切相談は受け付けなくしてしまうしかありません。税法解釈についての相談は税理士だけに限定してしまったり、印紙税など特別な項目だけに限定してしまう。
今やっているような方法、確定申告書作成会場を各税務署に用意する方法は自分で自分の首を締めているだけです。
鶴見税務署申告書作成会場案内サイト
このような感じで各税務署で大きめのスペースを準備して確定申告書を作り方を無料で教えています。
その場しのぎの方法であり、こんなバカな方法をこの先永遠にこの方法を続けていくつもりなのでしょうか。
今後はさらに高齢者割合が増えていきます。税務署に申告の相談者がさらに爆発的に増えていくことは目に見えています。そして若い人達の人口は減っていくので対応する職員は減っていきます。どうするつもりなのでしょうか。
無料にたかってきている人達は無料の場がなくなってもどうにかするはずです。福祉や援助が必要な人達も多々いると思いますが、それはまた別問題です。税務署がやる仕事ではありません。
助けるべき人達を助ける。それは別の役所がやるべき仕事です。税務署が職務と関係ないことに手間と時間をかけて、本来やるべき仕事をやることができない現状はバカげています。
まずは確定申告の無料相談会場を作るのをやめるところからスタートしないと何も変わりません。今でもとんでもないことになっているのに、10年後は地獄絵図ですよ。
税務署職員が教えながら作る申告書の内容は質が良いわけがなく、量をこなすだけの適当な申告になります。疲れきって頑張ってそんなしょうもない申告書を量産行為。いつまで続けるのでしょうか。
税理士の独占業務状態の改善
実はここが一番の問題であり、この部分に手を付けないと確定申告の時期に税務署に相談会場を作らざるを得ない状況が永遠に続いてしまいます。現在は税務申告業務はもちろん、税務相談についても税理士の資格がないとできません。厳密には友達からちょっとした税務相談を受けただけで税理法に触れてしまう違法行為です。
税に関する申告だけでなく相談も税理士資格が必要とする法制度が続いている理由、建前的には税務申告の質を維持するため、税法知識の乏しいぼったくりいんちき業者に騙されてしまう事態を防ぐためということになってします。
しかし実際は税理士の独占業務を守りたいだけです。税理士資格のない人や業者が税務申告業界に流れてきたら、税理士業界は壊滅的なことになってしまうと思います。
税理士の既得権益を守るために、何がなんでもこの利益を手放すことはないでしょう。
このような生温い状況で仕事をしてきた税理士、規制を取っ払ってしまったら生き残れる人達は多くないと思います。
税理士法が改正されない理由
どうして税理士の独占業務を少なくする法改正がされないのか、税理士会という組織が選挙に影響を与えることも大きな理由の1つですが、もう1つ大きな理由があるのです。合格基準
国税従事者における免除
10年又は15年以上税務署に勤務した国税従事者は、税法に属する科目が免除されます。
23年又は28年以上税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、会計学に属する科目が免除されます。
税理士の資格取得について
税務署職員は23年以上勤務をすることで、簡易試験を受けることで税理士資格を取得することができます。
この試験の難易度は一般の人が税理士資格を取得するための試験とは次元の違う簡単さです。もっと正直にわかりやすく書いてしまうと、23年以上税務署で働いた人はほぼ全員税理士資格を取得できてしまうのです。
この制度を維持するために、この制度で税理士資格を取得した税務署OBの利益を確保するために税理士法はいつまでたっても規制緩和が進みません。進みそうな気配も全くありません。
このような内容が新聞や雑誌で書かれることはほとんどありません。私は見たことないです。ネットでも質問サイトで少し書かれている程度で深く言及されているブログなどは見たことがありません。
書いてしまうと怖いことが起きるのでしょう。怖くて書けないだけでなく、このことを知っている人は税理士や税務署職員だと思うので、自分の不利益になるようなことを書くはずがありません。
おかしいと思っている税理士や税務署職員が多くいるはずです。既得権益を手放すことにはなりますが、今の制度のまま進めていくと10年後にはとんでもないことになる可能性があるということもわかっているはずです。
詳しい内情を知っている人がもっと発信していくべきです。