今朝、「仮想通貨で儲けた億り人が味わう納税地獄」とのニュースを読みました。
http://news.livedoor.com/article/detail/14335249/
この記事の中に「国税当局は時間をかけてでも捕捉してくるので、課税逃れはできないでしょう」と書かれている部分がありました。
国税当局は時間をかけてでも捕捉してくると書かれていますが本当ですか?
 
どうやって補足してきますか?
 
不動産買わず、SNSにも書かずにじっとしてたらどう補足するか教えてください!
 
仮想通貨取引で続出した「億り人」散財したあとに厳しい現実が待つ可能性 #ldnews https://t.co/nqYYv0fq0F— 山口健一 (@yamakenkenken2) 2018年2月22日
「具体的な捕捉方法などは明らかになっていない」とも書かれています。
 
明らかになっていないのではなく、補足方法は限られているだけです。
 
知っていて書かないのか、書くことができないのか。
 
どちらにしても都市伝説のような書き方は記事としては失格だと思います。https://t.co/nqYYv0fq0F— 山口健一 (@yamakenkenken2) 2018年2月22日
その内容に対してツイッターでこのように書いたのですが、書き足りないので続きを書くことにしました。
まず最初に書いておきますが、ばれるかばれないか、逃げ切れるか逃げ切れないか関係なく利益が出た場合には税金を支払う必要があります。
納税は日本国民の義務でありますし、儲かったらちゃんと税金を払いましょう。
ばれなければ人の物を盗んでも良いのか、傷付けてもいいのかという話と同じです。
ばれてもばれなくても法を犯すことは絶対に許されることではありません。
記事内で「国税当局は時間をかけてでも捕捉してくるので」と書かれています。
個人のブログやツイッターなどでもこのような書き方をしている人が多いですが、具体的にどのように捕捉してくるのかを書かれていることはありません。
東洋経済オンラインの記事には下の方にこっそりと「国税庁がどのような税務調査をするのかなど、具体的な捕捉方法などは明らかになっていない」と書かれています。
これは取材をした税理士法人の人の話とは思えず、おそらく記者が内容をぼかすために適当に書いたものだと思われます。
税理士法人の常務理事は、こんな適当なことを言わないと思います。
株の売買や日経平均先物取引などの先物と取引、FX取引(国為替証拠金取引)の場合、年間の損益金額は取引所から税務署へ全て報告(支払調書提出)がいくことになっています。
これは法律で決まっていることなので完全に捕捉されています。
利益が出て、本来は申告すべき人が申告をしなかった場合(故意でも故意でなくても)、税務署からすぐに問い合わせがこない場合があります。
金額が大きい場合は夏から秋頃に税務署から問い合わせがくることが多いですが、金額が少ない場合は1年経っても問い合わせがこないことがあります。
しかし税務署は申告漏れの状態になっていることは知っています。
30万円とか50万程度の利益だから見逃してくれると思っていたら大間違いです。
だいたい3年放置した後に問い合わせがきて、3年分まとめて追徴課税されることになります。
支払調書が提出される収入がある人は、100%完全に税務署に収入を捕捉されているので申告期限までに申告をしないと罰金と利息を支払うことになってしまうので大損をしてしまいます。
元の話に戻ります。
億り人が申告しなかった場合どうなるのか。
どうにもなりません。
取引所から支払調書提出が義務付けられいないので税務署は儲かったことを捕捉することはできません。
任意で取引所に資料提出を求めているのは間違いないと思います。
2008年まではFX取引の支払調書提出義務はありませんでした。この時も税当局はFX取引所に任意で顧客の損益情報の提供を強く求めていましたが、協力した取引所はありませんでした。協力する取引所があるわけありません。
2008年以前はFX取引の利益全てが税当局に捕捉されていなかったので、利益が出ても申告をしてない人が沢山いました。
その状況で税当局に任意で顧客の損益情報を提供してしまうと特定の取引所の利用者だけ税務調査を受け、追徴課税されていく。
こんなことになったらすぐに噂になり、その取引所から資金が逃げていく。
口座数を増やして資金を集めて取引回数と量を増やすことでぼろ儲けしていたFX取引所が資金が逃げていくようなことをするわけがありません。
今の仮想通貨取引所は当時のFX取引所と全く同じ状態です。
任意で税当局から資料提出を求められているとは思いますが、協力する取引所はないと思います。
支払調書提出が法的に義務付けられるまでは、このような状況なので仮想通貨で利益が出ても税当局が簡単確実に捕捉する方法は今のところありません。
しかし絶対にばれないかとい言うと、そんなことはないのです。
捕捉されてしまう場合をここから書きます。
捕捉方法1
1つめは不動産の購入です。
マンションや家を買うと税務署からお尋ね文書が届きます。
税務署は登記情報を全てチェックしているので、不動産名義が変わった場合にはお尋ね文書がくると思っておいた方が良いと思います。
問い合わせ内容は購入金額、職業、共有者の有無、支払金額の出所など。
任意提出ですが提出を拒むと税務調査に発展する可能性が極めて高いです。
仮想通貨で儲かったお金は使わずに、給与で貯めた頭金と長期ローンで買った場合はばれずに済むかもしれませんが、ばれてしまうかもしれないという恐怖はものすごいと思います。
仮想通貨で儲かって不動産を買う場合は、調子に乗って現金買いをしてしまう人が多いと思うので、きっと全てばれてしまうと思います。
捕捉方法2
2つめは別件の税務調査から発覚してしまう場合です。
株取引やFX取引などで利益が出ているのに申告をしなかった場合、確実に問い合わせがきます。
個人事業を営んでいる人は確率がものすごく低いですが事業所得に対して税務調査が入る場合はあります。
税務調査の時は通帳を全て見せることになるので全部ばれます。
捕捉方法3
3つめは相続が発生した場合です。
相続税の申告が必要な状態の場合、儲かったお金を全て使い切っていても税務調査で全てばれてしまうと思います。
所得税の時効は7年なので7年以内に死ななければ所得税に関しては逃れることができますが、残っている財産は相続税の対象となります。
捕捉方法4
4つめはタレコミです。
儲かるとどうしても人に話したくなってしまいます。
友達や親戚や仕事関係の人など。
他人が儲かった話は好きでない人が多いです。
特に仮想通貨ですごい金額で儲かったという話を聞かされて心地良い思いをする人はあまりいないと思います。
親戚がたれ込むことは少ないと思いますが、友達とかはけっこうたれ込みをします。
税務署に電話したり、手紙を送ったり、自分の確定申告の時に税務署職員に申告の相談に乗ってもらっている時に告げ口をしたり。
法人の税務調査はタレコミから税務調査に発展していくことはあまりありません。
しかし仮想通貨に関しては捕捉手段が少ないため、金額が多い場合はタレコミから税務調査へと発展する可能性が法人調査とは比べものにならないくらい高いと思います。
捕捉方法5
5つめはSNSなどネットからの検索です。
これは本当に見ていると思います。
フェイスブックや実名で書いているブログやツイッター。
儲かっている話を書いている人はリストアップされていると思います。
匿名掲示板も本人を特定することできるので追っている可能性ありますが、そこまで手が回っていない可能性が高いと思います。
実名で追える人、金額が大きい人を優先にリストアップして追っていると思います。
タレコミがあった人の情報も当然SNS関係を確認して追っている可能性高いと思います。
いずれは支払調書提出が義務付けられるようになると思いますが、それまでは上記以外の捕捉方法はほぼないと思います。
株もFXも仮想通貨などの取引はいくら儲かっても、儲かっている状態でやめることができないことが多く、その後儲かった金額以上に損をして引退することが多いと思います。
税金を逃れるということは法を犯すことになりますし、大損をしたタイミングで税務調査が入り人生が終わりかけてしまう人がかなり多いので、儲かった時はお金があるうちにしっかりと申告して納税しましょう。
最後にソースとなる法令や判例を見つけることができなかったのですが、私見を書きます。
金融庁の立ち入り調査がコインチェック社に入り、今後は他の仮想通貨取引所も金融庁の立ち入り検査が入ることになっています。
立ち入り検査で顧客の損益情報を金融庁が持ち出して税務当局に損益情報が流れるということがまことしやかに囁かれていますが、私はないと思います。
省庁間での情報交換は法令が制定されている範囲と限定されています。
年金機構(旧社会保険事務所)へ税務署が給与情報を提供し始めたは最近数年前です。
詳細書くと長くなってしまうので割愛しますが、源泉所得税の納付書情報を教えるだけのかなり限定的な情報のみの提供です。
こんなことさえも法整備がされるまでは情報提供をすることができませんでした。
役所って裏でつながって何でもありのようなイメージがありますが、全然そんなことはないのです。
金融庁と国税庁、情報提供や交換をする具体的な法制定がされていなければ情報交換されることはありません。
裏で情報が流れる可能性はあると思いますが、しかし法令違反ですのでそれを証拠に調査をすることはできないと思います。